「すてきなピアノえほん」すこしなれてきましたか?このブログの読者のみなさんならきっと6曲めまでひけるようになっていることと思います。もし引っかかっていることやわからない点がありましたら遠慮なく質問してください。ひけるようになるには
- 1)動画といっしょにDo Re Miで歌う。
- 2)次に動画なしで歌えるように覚える(暗譜する)。
このふたつだけです。「みつる式」の演奏ならDo Re Miを覚えていれば自動的に手が動きます。具体的にどうするかは一緒にアップしている「手元動画」を参考にしてみてください。みつる式の解説はこのページになります
さて今回は苦戦していた「となりのトトロ」。なんとかお聞かせできるかたちにまとめることができました。YouTubeにアップロードさせていただいています。今回はこの動画をつくる過程でわかったことをふりかえりつつ、解説していきたいとおもいます。
この記事でわかること
- ピアノの特殊性
- ピアノ譜とはなんなのか?
- ボカロP(うたものアレンジ)に適した方法
- 「コード」が使われる理由
- ディスコードとの境界
- となりのトトロ解説
- ながいイントロには理由がある
- 心を揺さぶられる体験を自分の手で
みつるのとなりのトトロ動画
では動画を見てみてください。今回は3分30秒と長いですから記事は音をききながら読んでいただければと思います。
これまでにない感じが出せたのではないでしょうか。音はすべて僕のMacから。その意味では完全オリジナル。曲のデータは自分でつくりました。繰り返し聞いても楽しめるように自分なりに考えてみました。でもなぜこんなにガチな構成になったのか?それはじつは「すてきなピアノえほん」にひみつがあります。
ピアノアレンジの難しさ
早速タネ明かししますね。曲のデータはつくりましたがアレンジはしていません。データは「すてきなピアノえほん」に収録の音源からできるだけ忠実に音をひろったもの。こんなすてきな編曲がこのえほんには入っているんです。あらためて2530円は破格だと思います。オリジナルのテンポは118。動画では半分の59にしたのでさすがにそのままでは間延びしてしまいます。そこで音源をピアノからゆっくり立ち上がりゆっくり減衰するオーケストラに変更してみました。もとはピアノ譜だったもの。こうして聞いてみるとオーケストラになっていませんか?ピアノのアレンジとは簡単なものでもオーケストラの内容があるものだと分かります。それだけの要素がつまっているわけですから譜面を読むのもピアノでひくのもかんたんなはずがありません。
ピアノの特殊性
普通の楽器は人間の声と同じです。楽器ごとに良い音をだせる範囲があって、基本的にはその中だけで演奏する。そのためいろんな楽器が集まって一つの曲を奏でます。それぞれのパートは楽器の特長にあったものになっているはず。つまり演奏者からしても分かりやすい。ところがピアノにはそうした限定はありません。88鍵盤はオーケストラの楽器を網羅。よってメロディも伴奏も。コードもベースもリフも全部演奏できてしまうのがピアノなのです。それは素晴らしいピアノの長所ですが、逆にいうとそのすべてがごちゃ混ぜになっているのがピアノの音でありピアノ譜。今回の採譜。きけば簡単な曲かもしれませんが、経験がない僕にはとても難しいものでした。正直もうやりたくありません。ピアノの演奏だって同じこと。曲が高度になってゆけば「一人オーケストラ」をやってのける気概が必要になります。
歌をつくるなら
一枚の楽譜ですべてを見ていくのはとても効率が悪いことが今回わかりました。解消するにはメロディと伴奏を分けるべきですね。さらに伴奏はメロディに対してどういう流れや雰囲気をつけたいか「コードで考える」ほうがわかりやすい。コードとは和音の構成音を示す記号のことですが、構成音を基本にベース・シンセパッド・ギターリフといった各楽器に分解して考えていくことができます。オクターブ12音ですからその組み合わせは有限。そこでよく使うものが覚えられるよう名前を付けちゃおうというのがコードネームですね。実際にどんなひびきなのかは和音博士で聞くことができます。ピアノえほんで音感をよくしながら少しずつコードの持つ雰囲気にも慣れ親しんでいきましょう。
こんなツールも使いました
音声ファイルを読み込んで音符データにしてくれるツールがあります。主たる用途は今回のような耳コピではなく、録音後に間違いに気づいた和音を直すこと。なのでかすかな音とかノイズにもとてもセンシティブに反応します。音の衝突を回避するためのツールなのでそこに気付けないと存在意義が問われちゃうからですね。結果どうなるかというと倍音やノイズなどもともとなかった音を実音化してくれます。幻の音を作ってくれるわけでこれが思わぬ効果を生みます。コード外の音はエモーショナルな雰囲気を醸し出してくれますのでうまく利用したいところ。いい感じにチョィスできるといいですね。そのためにも音感を磨いていきましょう。
僕の「となりのトトロ」
僕のトトロはスローなこともあって思いのほか荘厳な感じになりました。アニメの雰囲気に合っていますか?「すてきなピアノえほん」では曲の長さも長いほうで中ボスクラスのむずかしい曲。でもすてきなメロディはぜひおぼえたいですね。あせらずゆっくり聞いてみてください。うたが始まるまでの長いイントロが特徴ですがこれももともと内蔵の曲にあったもの。曲のテーマを音楽として楽しんでもらいたいというえほんの編集者の意図を感じます。僕のオーケストラ版でもぜひ楽しんでみてください。
たった1度のLeのために
key=Fですね。LaフラットのLeがすごく効果的に登場します。このLeはかたかなで言えば「レ」とふつうに発音します。ではこれまで僕たちが「レ」だと思ってきたReは?「となりのトトロ」にはたくさん出てくる音なのでこの曲で覚えてしまいましょう。ちょっと口の奥から出てくる音。よく聞くとミクさんも「ウェ」っぽく発音しています。ドレミの階名はDo Re Miの英米式にアップデートする必要があります。くわしくはこちらをご参照下さい。
いろんなエモを追求したい
偶然今回ちょっとエモーショナルなサウンドをつくることができました。データはMacの中にあってそこには秘密や謎はありません。細部まで理解できているか?といえばNOですが「できたこと」をプラスに考えたいと思います。単純にすごく楽しいですね。自分のつくったものが「感情に訴えかける」可能性がでてきたこと。素直に喜びたいです。やっぱり曲をつくるのは心を揺さぶられる経験を共有したいから。音感をよくしながら少しづつ目標に近づいていきます。よろしければご一緒ください。また次の動画でお目にかかりましょう。
手元動画を最後にご覧ください。
PRをひとこと。
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すてきなピアノえほんDX (たまひよ楽器あそび絵本) 単行本 – 2018/3/29 税込2530円