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シンプルなテンションノートの考え方

最近インスタグラムの動画でも素敵なコード進行をたくさん教えていただきます。そんなときコードについている数字気になりませんか?今回はテンションノートの考え方についておさらいしてみたいと思います。以前の説明では分かり易さを優先したところもありましたので、今回はよりくわしく数字そのものについても分かりやすく解説してみたいと思います。

この記事でわかること

・テンションノートのしくみ

・素敵な参考動画

テンションノートとは?

基礎となる4和音の上に追加して重ねる音のことです。音階の音は7音なので、4和音で使わなかった残りは3音。この3音がテンションノートになるとお考え下さい。4和音は一つ飛ばしですから、テンションノートはその「スキマ」の音と考えるとイメージしやすいと思います。例えばdの和音はDmstですから、テンションノートはDの次のrから始まる3和音の構成音rflということになります。7つしかないので全部書き出してみますね。

テンションノートの内訳

各基本コードに対するテンションノートは次のようになります。

Dmst テンションは Dの次のrから始まる3和音 rfl

Rfld テンションは Rの次のmから始まる3和音mst

Mstr テンションは Mの次のfから始まる3和音fld

Fldm テンションは Fの次のsから始まる3和音str

Strf テンションは Sの次のlから始まる3和音ldm

Ldms テンションは Lの次のtから始まる3和音trf

Trfl テンションは Tの次のdから始まる3和音dms

ここまではめちゃめちゃ分かりやすいと思いますが、どうでしょう? このように並べると、次の基本コードの3つめまでの音ということがわかると思います。つぎにこのテンションのひき方の図を示します。

テンションノートのひき方

いつもの形で左手で基本のコードをひきます。テンションノートは追加音でそれより高いオクターブでひきますので、右手でメロディのようにひくのが良いと思います。

左手(グリーンの部分)は上からstDm fldR strM Fldm Strf sLdm lTrfです。ルートを赤枠でかこってあります。紫が右手でひくテンションノートです。赤くなっているところはコードときれいに響かない「アボイドノート」と言われる音です。drmに含まれる音ですが、不協和になってしまうので、コードと一緒に長くひくことはおすすめできない音です。

テンションノートと数字の関係

以上で基本的な説明は終わりです。どの調でもなりたちますので、ここまでで、あなたはすでにテンションノートをおさえることができるようになっています。それほど複雑な話ではないですよね。テンションノートは音階のスキマの「音」でした。さて、表に小さく数字とフラットやシャープの記号が書かれているのにお気づきになりましたか?これがこれからご説明するコードの数字です。テンションノートはコードのなかで数字を使って表されます。

コードネームとは?

コードをCMaj7みたいに書き表すのが「コードネーム」。一般にコードといわれるのはこれですね。ざっくり800以上ある様々なコードを一つの方法で表記します。かんたんに言えばミュージシャン用の符牒(暗号)みたいなものなので、解読には知識が必要。また構成音しかわかりませんから、それをどう音にするか?はミュージシャンの音楽性に任せられています。(後でご紹介する動画を見ていただくとそのことがとてもよくわかると思います。)

コードネームの落とし穴とは?

コードはすべての和音を平等に同じ方法であらわせます。メリットは(知識が必要ですが)コードネームで書いてあればその和音がどんな構成音かわかるようになるということ。しかし、最大の落とし穴は音が美しくなったり美しい連結になったりする「しくみ」、そのものはコードネームにはふくまれていないということです。なぜならコードネームは「音の表記方法」でしかないからです。

コードは文字のようなもの

ご存じなかった方には意外なことかもしれませんがコードネームそのものの中には、じつは音楽をつくる仕組みはふくまれていません。文章を書くことに例えるなら、コードネームとは文字にすぎないもの。文字をでたらめにならべても意味のある文章にはなりません。コードもそれと同じです。実際にやってみていただきたいのですが、コードネームを適当に並べてそれを音にしてみて下さい。テンションをつけたコードネームで表現できる多くのコードはそもそもが不協和です。また、ひとつひとつのコードがきれいに響いたとしても、それらを連結すると途端に「奇妙な」音の繋がりになってしまう場合がほとんど。これは適当に鍵盤を叩いてもメロディにならないのとまったく同じことです。

コードと音楽の仕組みの関係

コードネームの表し方の中そのものには「うつくしい和音になる」ルールや「うつくしい和音の連結」になる音楽の仕組みといったものは「含まれていない」ということはご理解いただけたでしょうか?これはコードネームが和音の表記法でしかない以上当然のことです。たとえば、コードネームには調の概念もありません。したがってひとつのコードネームだけ示された場合、何調の曲なのか断定できません。これは、音名のアルファベットひとつでは何調の曲かわからないのと基本的に同じです。

コード進行がコードネームで書かれる理由

それでも、コードネームで書かれた「定番コード」や「イケてるコード進行」をよく目にするから、コードは重要なんじゃない?そうおもわれる方がいらっしゃることと思います。それはその通りですし、そのようなコードの音やコード進行がかっこいいのも事実なのですが、あれはミュージシャンがみつけた「上手く行った結果」をコードネームをつかって書き表したものなのです。したがって、コードネームに書かれたテンションの数字を見る場合でも、そこに何か美しい音の秘密が隠されている。という風には考えないでください。見つかった美しい音の組み合わせが、数字で表現されているだけだからです。このあとご説明しますが、数字そのものには深い意味はありません。

コードネームと別に存在する音楽のルール

それではコードネームに先んじて存在している「音楽の仕組み」とは何なのか?おおげさに書きましたが、それはこのブログでたびたびお伝えしているとおり、音楽の骨格になっているdrmfsltの音階です。和音もまた、この音階から音を一つ飛ばしに取り出すことで作られているからです。

コードのテンションを表す数字とは?

音階の7音に1234567の数字を振ります。最初の4和音のコードは数字で書くと一つ飛ばしの1357です。するとスキマの2,4,6がテンションになります。テンションは高い音にしたほうが美しく響くので、1オクターブ上にあげて「2巡目」の音階で登場させます。1の1オクターブ上が8ですから、数字に7を足せば「2巡目」をあらわせます。したがって、テンションを表す数字は9,11,13となります。たとえば全部テンションがつくとき、コードは1 3 5 7 9 11 13の7和音となります。

数字につくフラットやシャープは何なのか?

コードネームはすべての和音を平等にあつかい同じ方法で表現しているとご説明しました。それを成り立たせているのが、コードネームが採用している「いつでもルートを基準にする」表記法です。テンションの数字はルートを基準にした数字です。したがって、実際のdrmfsltの音階に適応すると調整が必要になります。基本の4和音のコードネーム自体が、ⅠMaj7,Ⅱm7,Ⅲm7,ⅣMaj7,Ⅴ7,Ⅵm7,Ⅶm7b5と音階のどこをルートにするかによって変わりますが、これは、和音を表現するときにdrmfsltの音階のかたちにあわせて、コードネームを変化させることで対応しているためです。ルートを音階のどの音にするかによって、テンションがかわるのは、これと全く同じ理由によるものです。半音(黒鍵の音)を含めた音階は次のようにあらわすことができます。ギターの指板のおぼえ方で用いたC〇D〇E、F〇G〇A〇Bがまた登場します。今回はどのルート音でも使えるように数字です。

1〇2〇3、4〇5〇6〇7

2,4,6は9,11,13に置き換えが可能です。なので

半音の〇は順に b9,#9,#11,b13,b7になります。(b7はテンションではなく基本4和音の一部です。)

以上まとめると

1,b9,2=9,#9,3,4=11,#11,5,b13,6=13,b7,7,1=8

(ここでは1にもどるところまでを書いてみました。)

これだとイメージがつかみにくいとおもいますので、一覧表にしました。音階の各音をルートにすると登場するテンションはどれになるのか、ご確認ください。緑がコードトーン。紫がテンション。赤がアボイドノートです。

以上でコードネーム表記の謎はなくなりました

1234567の数字はルートを基準にしていつも音階のとおり。その音の間隔は固定となっています。したがって実際にdrmfsltをひくときには、上の表のように音階の数字とのずれが生じてきます。1オクターブの12音の中で適切にdrmの音を表示させる。テンションのbや#はそのために必要になるものです。したがって、bや#が登場してもとくに複雑で深淵な何かが起きているというわけではなく、たんにもともとの音階の位置に適合させているだけ、とご理解ください。

このブログでのテンションの表記

コードを表記する場合ですが、一番ていねいなのは、つかうテンションをかっこの中にいれて全部書くというものです。たとえばCMaj7(9,13)。ぼくもそれにならってとりあえずテンションはstDm(r,l)のように表現したいとおもいます。ただ、実際にひける形のほうがいいと思うので、テンションをひく機会が生じたら再検討したいと思います。なおテンションはメロディやそのハーモニーとなる場合が多いので、現時点では伴奏のコードにテンションを指定する機会は少ないのかな?と感じています。

コードは型にはめています

このブログではコードはひとつの型にはめてご説明しています。その延長でテンションも自動的に場所が決まりました。

stDm(l,r)

fldR(s,t,m)

strM(l)

Fldm(s,t,r)

Strf(l,m)

sLdm(t,r)

lTrf(m)

もちろん音響的にこれが唯一の正解と考えているわけではありません。ぼくたちが学習の過程にあることを前提に、わかりやすくなる方法を選択した結果です。実際にどのような方法で音を積み重ねていくのが良いのか?とても参考になる動画を見つけたのでご紹介します。なおネタバレになりますが、この動画で取り上げている。Bbm7というコードはkey=AbのRe(Ⅱ)のコードになります。したがって最高音のCは「メロディとしてmをひいている」ということになります。そうわかって見ると理解しやすくなると思います。

いかがだったでしょうか?

コード表記のテンションもC〇D〇E,F〇G〇A〇Bの1234567の数字が基本になっているということがわかりました。それだけ基本の音階drmfsltの支配力が強いといえると思います。同時にコードの数字の問題も明らかになったように思います。実際の音階に合わせるために適宜伸び縮みさせているのが実態だからです。個人的には音階の音を言えばすむだけなら、bや#をつけてまで数字で表現することにはあまり意味がないかな?と思います。特にそれで何かの理解が深まるという訳でもないと思いますので。このブログでは引き続きみなさんに分かりやすい方法を模索しながら音楽についての理解を進めていきたいと思います。それではまた次回おめにかかりましょう。

<24/4/5追記>

テンションを譜面であらわしてみました。よろしければどうぞ(リンクをわすれていました)。

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そのひとなりの楽しみが味わえること以上に大切なことはありません。音楽だってプロではないアマチュアなりの楽しみ方があっていいはず。ピアノだって誰もが演奏家を目指さなくてももっと楽しくひけるはず。このブログも作曲も全ては自分の楽しみのためにやっていることです。でも自分が楽しんでいないことはきっと相手にも伝わらない。僕の見つけたちょっとしたコツや知識がみなさんの楽しみにつながることを心から願っています。

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