このブログではこれまで基本コードとは指1本のちがいで多彩な表現ができるセカンダリードミナントコードを見てきました。ならばいわば逆引きで基本コードの側から使えるコードを探すことができるのではないか?と思いつきました。基本コードを出発点に指一本動かすことであらたに誕生するコードにどんなものかあるかしらべていく企画を始めたいとおもいます。初回はFldm。これをスタートとして指一本動かすことでどんなコードできるかをやってみましょう。もちろん既出のものもありますがそれらはサラッと扱いたいと思います。
この記事でわかること
Fldmの周辺コード
Fldmの動かせる1音は?
まず動かせる先を確認しましょう。
小指
m fi s si
中指
se s le li t
人差指
te t di r ri
親指
ra r me f fi
いかがでしょうか?結構バリエーション豊富ですね。小指のmはkeyによっては鍵盤からはみ出してひけなくなってしまうのでもし良いコードになったらまずいですね()それにしても全部でざっと19もあります。この段階で一つの記事にまとめるのは諦めました。
調査の方法
今回も()iOSアプリのリバースコードを活用します。全部がコードのトーンに収まれば解釈が表示されます。ならなければ一音は灰色に表示されます。その場合はその灰色のままの音は元のコードに対する「テンション」候補という理解ができます。当然アボイドノートの可能性もありますので違和感のある響きかどうか耳で判別していくことになります。一部一致の場合もあるのでその場合どんなコードができたか確認します。完全一致で新しくできたコードについてはルートを設定して変更前のコードとあわせどんな風につかったらいいか音で検討することにします。
Fldm(とStrf)は特別なコード
Strfもそうですがこの二つは僕のおススメするおさえ方では例外的なコードです。なぜかというと構成音が音高順に低い方がらならんでいるコードの基本形だからです。この二つだけが転回形ではありません。左手小指・中指・人差指・親指がそれぞれコードのいわゆるルート・第2音・第3音・第4音の順になっています。それぞれのポジションでコードのキャラクターを決める要素。ちょうど良い機会なのでこの記事の連載で音がどう変わるのかを確認していきましょう。
ディスコードの可能性と回避の可能性
音が衝突してハーモニーしない一つの理由は近すぎるから。こちらの記事で取り上げましたが鍵盤で隣とか隣の隣とかの関係の音は常にディスコード(不協和音になる)の危険と隣り合わせです。stDmもそうですがこの場合問題ない。問題ない形におさまっているか?が分かれ目になってきます。指を移動した先にはハーモニーとして難しい近い音も当然含まれてきます。うまく使う可能性があればさぐっていきましょう。
小指からやっていきます
小指はFldmのルート音。これを動かすということはコードとしてはf(Fa)のコードではなくなることを意味します。新たなルートにはどの音がなるんでしょうか?。どんなコードが作れるかみていきましょう。
m
自分では複雑にしたつもりがかえってシンプルになるという良い例ですね。Ldmにおさまりましたので特に考慮の必要はないと思います。候補から除外してOKですね。key=Gのとき鍵盤からはみ出してしまうという問題も無事解決しました。
fi
3通りの解釈が示されました。とりあえずfildmと書いておきます。ルートと解釈できる音が3つあるということですがもちろん音は一緒。私たちの知っていることから類推していきましょう。
fildm その1Fildm
まず思い浮かぶのはセカンダリードミナントのfildR。1音(R→m)しか違いません。ということは進行先は強くStrfが予想されます。Fldm fildm Strf などという 進行はありありなのではないでしょうか。この時のコードのルートですがfi以外考えられません。ルート音が半音ずつ上がっていくパターンになります。つまりFildm(Seldm)で2番目(3番目)のm7b5だったことになります。見覚えありますか?TiのコードTlfrがこれでしたよね。F#/GbがtですからdはG。key=GのTiのコードになります。Trflは strMに進みやすいと同時にらsDmにも進みやすい。これは音階のtf がdmにまとまる性質があるから。なのでkey=GのsDmつまりkey=CのStrに進むのが自然ということになります。音を聞いてみましょう。
fildm その2selDm
表記がselDmに変わっていますが音はfildmといっしょ。惑わされないでくださいね。C6b5と判定されているのでルートはdです。sがフラットしてseになっています。そこでコードはselDmとなりました。曲になるような連結を考えてみました。音を聞いてみて下さい。第3音はルートとともにコードの土台なのでルートが同じでももはや別コードということが分かると思います。fStmはこれまでやっていないコードですが不協和にならなければOKですね。Strfのrがなくなってテンションmにおきかわっています。mはずっとなり続けている音です。
fildm その3fiLdm
一番最初に判定されているコードですがlがルートなのでマイナーの曲になります。ちょうどYOASOBIのアイドルでやったばかりのところですね。fiとsiはメロディックマイナーのスケール音なので違和感なく溶け込んでいると思います。
s
お馴染みのsLdmです。基本コードのlのコードになります。説明は省略します。
si
小指最後の音です。今までで一番変わった響きですね。いよいよ隣り合わせの鍵盤が登場しました。この変わった響きが隣り合わせの鍵盤の「音のぶつかり」によってもたらされているのは間違いありません。とりあえずkey=Cのコードとしてsildmで把握しておきましょう。するとどうなるか?ですが半音のぶつかりはこれまでのパターンではルートと第4音のぶつかりでした。stDmやFldmの例がありましたね。それと同じ解釈をするとLdmsiとなります。Ldmsのsが半音上がった変化形ですね。響きはこれまでのコードとかなり違います。半音のぶつかりがあまり消化されてない感じがあります。音を聞いてみてください。さっきやったばかりのFildmも召喚してなんとかまとめてみました。
もう一つの解釈はlは無視してDmsのsがsiに変化したと考えるもの。この3音は間隔が等しく4半音ですからどの音もルートになることができます。Dmsi Msid Sidm ですがMsid についてはkey=Cのコードとは限らずSidmは明らかに他調のコード。従って階名での呼び方もその時点で変わってしまいます。lを無視したくなるぐらい特徴的なDmsiですがDmsiを鳴らしておいてlをひいても和音として使うのは難しそうです。
いかがだったでしょうか?
僕たちは12keyを初心者の段階からとしては比較的多く経験していると思います。なので他調のコードと言われてもそんなに違和感はないと思います。さきほどの説明。音階を使って補足したいと思います。key=CのDmsi Msid Sidm ですがkey=Eだと Sidm Dmsi Msid になります。おなじようにkey=Abだと Msid Sidm Dmsi になります。つまりkey=CのDmsi Msid Simdは <C>Dmsi <E>Dmsi <Ab>Dmsiというわけなんです。形がいっしょなので階名もいっしょになりますね。階名にkeyを加えて表現するやり方は今とっさに考えましたが()これからいいものを考えたいと思います。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう!