ジャストといってもメトロノームのクリック音にジャストということではとらえないでください。それは音楽的じゃありません。グリッドラインからずれているのはひとが演奏している以上当然ですしそれがなくなったら音楽のよいニュアンスだってなくなってしまいます。ここでの「ジャスト」は演奏しているひとが狙ったところにピッタリの意味。これについてとても興味深い記事を見つけたのでご紹介します。それからDAWはどのくらいの設定で使うのが良いか。これも超参考になる記事をいつもお世話になっている楽器屋さんが書いてくださっていますのでご案内しますね。
この記事でわかること
- 人間の情報処理
- 「先読み」の存在
- 音程だけでなくリズムも
- つまりひくために必要なことは
- 頭の中で再生する
もともとバーチャル空間で生きている
今回グーグルのディスカバリーにオススメされてめっちゃためになった記事はこちらです。
「やりきった感がある」グランツーリスモ7 山内一典氏インタビュー。もはや実車と評判のVRモードを語る
いろいろ興味深い話がでてくるのですが重要とおもわれるのは次の部分です。長文引用すみません。でもけずれるところがありません。
「僕の理解では人間の脳というのは、常に0.2~0.4秒先のことを予想しながら動いています。つまり、僕らが今感じている瞬間は、脳が0.2~0.4秒前に予想した現実なんです。人間の神経はすごくスピードが遅いので、目から入ってきた情報を脳で処理して、それを例えば手に伝えるとなると0.4秒程度かかってしまいます。でも、実際僕らはその遅れを感じずに済むのは、脳が未来を予測しているからなんです。そのため僕らが意識するよりも前に、脳が指令を出しているから、僕らはほぼ同時にステアリングを切ることが可能なわけです。」(引用おわり)
ステアリングを鍵盤に置き換えると
山内さんがおっしゃっているのはゲームの話なので「ステアリング」を鍵盤に置き換えてイメージしてみてください。1秒は1000ミリセカンド。200ミリセカンドから400ミリセカンドのずれが生じてしまうということ。つまり僕たちがリズムよく演奏できるのは「見てから」反応しているわけではなく頭の中のバーチャルな音楽に合わせてシーケンス通りに正確にひいているから、ということになります。
BPM120の曲だと
ミリセカンドというとピンときませんがBPM120の一般的な速さの曲の場合四分音符の長さがちょうど500ミリセカンド。これだけずれたら曲にならないことは明らかですね。以前ひかるキーボードのむずかしさについて記事にしましたが当時感覚で「頭の中に曲がないとひけない」と言っていたことは正しかったです。ランプが光るのを見てからでは反応が間に合いません。
演奏するために必要なこと
かんたんに言えば音高だけでなくリズムもふくめて「曲をおぼえる」ことになります。音高については「みつる式タッチタイピングピアノ」が役にたってくれるとおもいます。リズムについてもいい方法を考えたいですね。相対的な音符の位置が見えていれば先頭から順番にひいていくことで正確に曲が再現できます。音高の時に音階という軸を設定したのと同様にリズムについても軸が設定出来たらうまくいきそうですね。
演奏するとき気にならない「遅れ」
オーケストラの団員が指揮者のタクトを合図に演奏をはじめるように、バンドのメンバーもドラマーのスティックのカウントで演奏を始めます。それぞれが頭の中で音楽を再生していますから、メンバー同士の音はバッチリシンクロすることになります。このとき反応速度の遅れは気になりません。みんな遅れているからです。ただしひとりひとりのメンバーにも個性があって、頭の中の曲に対して少しはやめに演奏しがちのメンバーとゆっくり演奏しがちのメンバーがいます。こうしたクセをかんたんに表現できるようにしている音源もあります。たとえばUjamのバーチャルギター音源スパークル2のマイクロチューニング。
Feelというレバー。左にすると突っ込んで右にするともたる。非常にわかりやすいですね。マニュアルによると対象は演奏全体ではなくアクセントのない音符だけのようですがどんな感じかちょっと試してみたくなります。<追記>その後試してみたところ例えば4/4のときは2拍4拍が操作することによって進んだりおくれたりするようです。おもしろいですね。
演奏するとき気になる「遅れ」
気になるのは鍵盤を押してから音が出るまでのレイテンシーと呼ばれる遅れです。だいたい気になるのは30ミリセカンドからと言われています。DAWで設定するバッファーのサイズを変更することで調整できます。参考になるのはいつもお世話になっている楽器店のこちらの記事。
レイテンシー と バッファサイズ とは?【今さら聞けない用語シリーズ】
バッファーを設定するとそれだけでレイテンシーは発生します。DAWや音源の遅延も考慮すると曲のビットレート設定が44.1khzの場合は256サンプル以下が目安となるようです。PCの性能にもよりますが演奏に支障をきたすような場合は調整の余地がないか変更して試してみることをおすすめします。それではまた次回のブログでおめにかかりましょう!
今日のGPT
みつる:脳神経の反応速度について教えてください。目で見て人間が例えばスイッチを押すなどの反応をするのにどのくらいの時間がかかりますか?タイムラグについて医学的・人体構造的な説明をお願いします。
ChatGPT:人間の脳神経の反応速度は、一般的には遅くとも数ミリ秒から、速くて100ミリ秒以上かかることがあります。しかし、これは個人差や状況によって変わります。例えば、目で見てスイッチを押すという行為には、以下のようなプロセスが含まれます。
- 光の受容: 眼に入った光は、視細胞によって電気信号に変換されます。このプロセスには約1ミリ秒程度かかります。
- 視覚情報の処理: 電気信号は視神経を通じて脳に送られ、視覚野で処理されます。このプロセスには約50-80ミリ秒程度かかることがあります。
- 意思決定: 脳は受け取った情報をもとに、スイッチを押すという意思決定を行います。これには個人差があり、状況によっては数十ミリ秒から数百ミリ秒かかることがあります。
- 運動神経の活動: 意思決定が終わると、脳は運動野から運動神経に指令を送ります。このプロセスには約20-70ミリ秒程度かかります。
- 筋肉の動作: 運動神経からの指令を受けて、筋肉が収縮し、手がスイッチに向かって動きます。このプロセスには約30-100ミリ秒程度かかります。
これらのプロセスを合わせると、目で見てスイッチを押すまでの反応時間は、約150-300ミリ秒程度と考えられます。ただし、これはあくまで一般的な範囲であり、個人差や状況によって変わることがあります。また、練習や習慣によって反応速度が向上することもあります。