EZkeys 2についてはほんと使いやすくて触っていただければすぐにわかると思います。なので説明もほとんど必要ないほどですが、Scaler2についてはサジェスト機能が複数あって散在している印象なので少々わかりにくいです。Scaler2のほうがEZkeys 2よりコードの選択については幅があることは間違いありませんがそれゆえの複雑さということもあります。この記事では放置していた()Scaler2のサジェスト機能どんなものがあるのかこの機会に少しまとめてみたいと思います。
この記事でわかること
- EZkey2のコードサジェストはふたつ
- Scalerは大きく3つ(さらにその中がわかれる)
- 曲作りに実用的なEZkey(インスピレーションを逃さない)
- 音楽を深く研究したいならScaler
おことわり
昨日の記事たくさんのかたに読んでいただいてありがとうございます。EZkeys 2への関心の高さが伺われてとても勉強になりました。《23/5/27追記》素晴らしい音源をお借りしました。EZkeys 2の音の魅力を実際にお聞きいただくことができます。
本記事の内容ですがScalerの部分はやや専門的ですのでEZkeyの部分だけ読んでいただければOKなように結論も先にかいておきます。後半はScalerを使いこなしたいかただけ読んでいただければと思います。基本的には自分用のメモです。
結論
普通に曲をつくる上ではEZkeys 2のサジェスト機能は必要十分なもの。スケーラーのサジェストが必要になるのは100曲以上つくってアイディアが枯渇してから。ただし「転調(modulation)」に関してのみEZkeys 2のマニュアルには記載が無いようです。一方スケーラーの転調に関するサジェストは(転調するなら)1曲目から有効に使えます。持っているかたは積極的に使っていきましょう。持っていないかた・より深く転調について知りたいかたのためには自分も読みかえそうと思っている書籍1冊をご紹介しておきます。
EZkeys 2のコードサジェスト
インスピレーションを逃さないためには直観的にかんたんに使えるというのはとても大事ですね。今回EZkeys2を触ってみて実感しました。あれやこれやアプリのほうに神経を取られているとせっかくふくらんだイメージがどんどんしぼんでいってしまいます。その意味では時間との闘い。ある種の興奮状態をそのまま定着させるのか作曲ということなのでは?と思ったりします。さて本題にもどって一つ目は昨日もご紹介したこちら。
Songwriting Scales
Songwriting Scalesです。これはkeyとscaleを選ぶとそれにあったコードのセットをEZkeys2が選びだしてくれるというもの。画像のメジャースケールの場合だと14個コードが選ばれています。これを使っていれば音を外すことはありません。クリックしてコードをプレビュー。そのままSong Trackドラッグしてバンバン張り付けていけます。keyを選べば和音が決まるのは和音博士とも似た機能ですが和音博士が長調/短調のみであったのに対しこちらはいろいろなスケールを選択できるようになっています。スケールというと難しそうですがようするに曲の「雰囲気」のこと。逆に言うと曲の雰囲気を決めているのがscaleなんです。Soundrawでは曲のムード(雰囲気)でAIが曲をつくりわけていましたがあんなことが可能なのは曲の雰囲気を決定づけているのはscaleだから。ということを僕はこのSongwriting Scalesで知りました()。画像ではかすかに見えている文字ですが右回りにHappy Ethereal Classical Cinematic Sad Latin Exotic Jazz Blues となっています。この中に13個のスケール(雰囲気)が配置されています。これは次回何とかしてぜひ音をお聞かせしたいですね。
もうひとつはSuggest Chordsです。
Suggest Chords
画像はもう変更後。サジェストから選んでつくったのがこちら。聞きながらマウスクリックで選んでいくだけです。音をきいてください。
曲のジャンルはPop/Rock/Countryのままでしたので曲の雰囲気は大きくはかわっていません。 そこで曲のジャンルをヒップポップに変えました。
音はこんな感じになりました。聞いてください。
曲はどんどん作れます。あとはやるだけですね()。がんばりましょう!
さて話はScaler2に移ります
ここからは僕も研究中なので基本的にマニュアルの翻訳。つまり文字だけになります。ただ資料的な価値はあると思いますのでご興味のある方はお付き合いください。
Scaler2のサジェスト機能その1 ブラウズモード(セクションA)のコードセット
セクションAはお手本 セクションBはそれを手本にスケールから探すコードセット セクションCは実際に曲のコードを作っていくところ。スケーラーの画面は大まかにこんなふうな区分けになっています。どこもいじれてしますのでややこしいのですが、実際に音をまとめて仕上げていくのはセクションCと思っていて間違いないと思います。
まずサジェストその1なんですがプリセットでコードセットに入っているコード進行ですね。マニュアルを引用します。(iOS版なので細かいところPC版と違いがあります)
<引用>
Chord Setsコードセット
A chord set is a list of chords representing a chord progression or a song saved in Scaler. Chord sets help you find inspiration, listen to chord voicings in context, and discover what works in those progressions and songs.コードセットは、Scalerで保存されたコード進行または曲を表すコードのリストです。コードセットは、インスピレーションを見つけるのに役立ち、コンテキストでコードのボイシングを聴くことができ、それらの進行や曲でうまく機能するものを見つけることができます。
You can choose a chord set by selecting it from one of the 3 menus representing the different types of chord sets:異なる種類のコードセットを表す3つのメニューからコードセットを選択することができます:
– Song sets, organised by genre.ジャンル別に整理された「曲セット」
– Artists sets, crafted by artists.アーティストによって作成された「アーティストセット」
– User sets, created by users.ユーザーによって作成された「ユーザーセット」
<引用終わり>
こちらの記事ではそのまま引用しましたが
場合によってはまるまる使えてしまうコード進行。これがまずは何よりのサジェストです。
Scaler2のサジェスト機能その2 プログレッションビルダー(セクションC)のサジェストボタン
そんな名前がついているのを初めて知りました。画面上特に境があるわけでもないので、プログレッションビルダーと言われてもなんですが自分のコード進行を作っていくパターン1から7までの『列』のこと。そういえばここはスケーラーがどのモードの時も(Main/Seq/Chord/Pad/Mod)最下段に常に見えていますね。
サジェストボタン
セクションCの割と右の方にあるサジェストボタン。その機能ですがこんなふうになっています。引用長めですご了承ください。
<引用>
Suggest Mode提案モード
Suggest Mode can suggest chords, an entire pattern or chords to complete your current pattern. It’s a great way to come up with unique user generated chord progressions using chords outside of the standard diatonic chords of the scale.提案モードはコード、パターン全体、または現在のパターンを完成させるコードを提案することができます。これはスケールの標準的なダイアトニックコード以外のコードを使用してユニークなユーザー生成のコード進行を作り出す素晴らしい方法です。
There are two ways to work in Suggest Mode; ’Tonal’ and ‘Per Scale’提案モードで働く2つの方法があります。それは「Tonal」と「Per Scale」です。
Per Scale
Per Scale mode will suggest chords based on and belonging to your current scale. This is an easy way to come up with suspended and extended chords that can help make chord progressions interesting. It works by finding any movement between 2 chords that can be defined using the degrees of the selected scale.Per Scaleモードは、現在のスケールに基づき、かつ現在のスケールに属するコードを提案します。これはサスペンデッドコードやエクステンデッドコードを思いつく簡単な方法で、コード進行を興味深くするのに役立ちます。選択したスケールの度数を使用して定義できる2つのコード間の任意の移動を見つけることで動作します。
ie: In the C Major scale, the relationship between the G Maj chord and the C Maj chord can be defined as “V Maj”->”I Maj”. Both degrees exist in the definition of the selected scale, Scaler considers the chords linked by a scale relationship.例:C Majorスケールでは、G MajコードとC Majコードの関係は「V Maj」->「I Maj」と定義できます。両方の度数は選択されたスケールの定義に存在するため、Scalerはコードがスケールの関係によってリンクされていると考えます。
Tonal
Tonal mode helps you find chords that fit your progression but lie outside of your current scale. Tonal mode works by analysing chord sets made by musicians and artists exclusively for Scaler and helps you find chords you may imagine even though they may not fit conventional music theory. This mode can help you explore new ideas and add subtlety and complexity to your progressions. Tonal mode finds a movement between 2 chords that does not necessarily follow a scale logic (in relation to your selected scale).Tonalモードは、進行にフィットするが現在のスケールの外側にあるコードを見つけるのに役立ちます。Tonalモードは、ミュージシャンやアーティストがScaler専用に作成したコードセットを分析し、従来の音楽理論には合わないかもしれないけれどもあなたが想像するコードを見つけるのを手助けします。このモードは新しいアイディアを探求し、進行に微妙さと複雑さを追加するのに役立ちます。Tonalモードは、2つのコード間の移動を見つけることができますが、必ずしもスケールの論理には従わない(選択されたスケールに対して)。
ie: The relationship between the F Min chord and the C Maj chord cannot be defined using the degrees of the C Major scale. However, F Min is commonly found after C Maj, this is due to the many different ways those chords can be linked:例:F MinコードとC Majコードの関係はC Majorスケールの度数を使用して定義することはできません。しかし、F Minは一般的にC Majの後に見つかります。これは、これらのコードがリンクされるさまざまな方法によるものです:
– You can find F min in the “Modal Interchange” of the C Major scale (in the Phrygian, Minor and Locrian modes).- C Majorスケールの「Modal Interchange」(Phrygian, Minor, Locrianモード)でF minを見つけることができます。
– F Min is the Minor Subdominant of C Maj (or the N relationship in the Neo-Riemannian screen)- F MinはC MajのMinor Subdominantです(またはNeo-Riemannian画面のN関係)
– Both chords co-exist in many scales like the C Harmonic Major scale, C Phrygian Dominant scale, F Harmonic Minor etc…- 両方のコードはC Harmonic Majorスケール、C Phrygian Dominantスケール、F Harmonic Minorなどの多くのスケールで共存します。
Pattern Generationパターン生成
The “Pattern” button generates a unique chord progression based on the selected suggestion mode. You can use it to complete a pattern you are working on or generate an entirely new chord progression.「Pattern」ボタンは、選択された提案モードに基づくユニークなコード進行を生成します。作業中のパターンを完成させるために使用したり、全く新しいコード進行を生成するために使用することができます。
Auto-Detectオートディテクト
When activated your progression is analysed and your current scale is updated after any change in your pattern. This can be particularly useful when switching between the Per Scale and Tonal modes of the Suggest Mode to make sure the suggestions remain relevant to the scale you are in – or borrowing from.有効にすると、進行が分析され、パターンの変更後に現在のスケールが更新されます。これは、Per ScaleモードとTonalモードの間で切り替える際に特に役立ちます。これにより、提案があなたがいるスケールに関連性を保つことを確認できます。
Minimize Movement最小限の移動
When activated the suggested chords will be revoiced to fit together nicely and reduce the jump in voices from one chord to the next.有効にすると、提案されたコードは再調声され、一つのコードから次のコードへの声のジャンプを減らします。
<引用終わり>
サジェスト機能としてはこれが中心ではないでしょうか?僕も使いこなしていないので今回はこのご紹介だけになりますがまた研究して結果をお伝えしていきたいと思います。
Scaler2のサジェスト機能その3 モジュレーション・ビュー(転調モード)
転調モードは転調がスムースに行えるようにScaler2が橋渡しとなるコードのつながりを教えてくれますので基本的には全体がサジェストモードだといえます。中身は4つに分かれています。
<引用>
Modulation Viewモジュレーションビュー
Explore more content related to your selected scale, borrow chords from a relative mode, find a secondary scale to modulate to and discover Scaler suggested progressions.選択したスケールに関連するさらなるコンテンツを探索し、相対モードからコードを借用したり、モジュレーション先のセカンダリスケールを見つけたり、Scalerが提案する進行を発見したりすることができます。
Opening the modulation section overlays the detection and scale selection area.モジュレーションセクションを開くと、検出およびスケール選択エリアがオーバーレイ表示されます。
The modulation view offers multiple presets covering different aspects of modulation (tonicization, borrowed chords, modal mixture…etc.)モジュレーションビューでは、トニシゼーション、借用コード、モーダルミクスチャなど、モジュレーションの異なる側面をカバーする複数のプリセットが提供されています。
Progression進行
This preset helps you modulate from your currently selected pattern (from Section C).このプリセットは、現在選択されているパターン(セクションCから)からモジュレーションを行うのに役立ちます。
The top row represents your current progression.上段は現在の進行を表しています。
The circle of fifths on the left allows you to select a destination scale.左側のフィフスサークルを使用して目的のスケールを選択することができます。
Once selected, your progression is automatically transposed into the destination scale, allowing you to hear your chord progression in a new scale. You can change the scale type by pressing the name of the destination scale at the bottom left of the modulation view.選択すると、進行は自動的に目的のスケールに転置され、新しいスケールで和音進行を聴くことができます。モジュレーションビューの左下の目的スケールの名前を押すことで、スケールのタイプを変更できます。
If sufficiently similar, Scaler suggests a path from the original scale to the destination scale.十分に類似している場合、Scalerは元のスケールから目的スケールへのパスを提案します。
To create a smoother transition, use Maintain Suggestion Voicing in order to force the suggested chords to adapt to your progression voicing.スムーズな移行を作成するには、「提案ボイシングの維持」オプションを使用して、提案されたコードを進行のボイシングに適応させることができます。
Secondary Scaleセカンダリスケール
This preset helps you modulate from your currently selected scale into a second scale.このプリセットは、現在選択されているスケールからセカンダリスケールにモジュレーションするのに役立ちます。
The top row shows your current scale and its diatonic chords.上段には現在のスケールとそのダイアトニックコードが表示されます。
The circle of fifths on the left allows you to select a destination scale.左側のフィフスサークルを使用して目的のスケールを選択することができます。
Once selected, the bottom row populates with the diatonic chords of the destination scale. You can change the scale type by pressing the name of the destination scale at the bottom left of the modulation view.選択すると、下段に目的スケールのダイアトニックコードが表示されます。モジュレーションビューの左下の目的スケールの名前を押すことで、スケールのタイプを変更できます。
If sufficiently similar, Scaler can suggest a path from the origin to the destination scale.十分に類似している場合、Scalerは元のスケールから目的スケールへのパスを提案することがあります。
Above the destination scale is shown the secondary dominant path to the chord. You can move the cursor using the < > buttons to display the secondary dominant and predominant of any chord of the scale.目的スケールの上には、コードへのセカンダリドミナントパスが表示されます。カーソルを使用して、任意のコードのセカンダリドミナントとプレドミナントを表示することができます。
Modal Interchangeモーダルインターチェンジ
This preset helps you find chords to borrow from a relative mode.このプリセットは、関連するモードからコードを借用するためのコードを見つけるのに役立ちます。
Your selected scale is displayed at the top followed by other modes of the same family.上段には選択したスケールが表示され、同じファミリーの他のモードが続きます。
Mediants中間音
This artist curated preset helps you generate mediant chords starting from any chord of the currently selected scale, enabling stylistic and subversive chord progressions.このアーティストのセレクトされたプリセットは、現在選択されているスケールの任意のコードから中間音コードを生成するのに役立ちます。これにより、スタイリッシュで破壊的な和音進行が可能となります。
Pressing on a chord generates a new line containing its mediant chords.コードを押すと、その中間音コードが含まれる新しい行が生成されます。
A mediant chord is a minor or major third above or below the root of your chord. For example, from a C chord Scaler will generate the following chords:中間音コードは、ルートの上または下にマイナーサードまたはメジャーサードであるコードです。たとえば、Cコードからは以下のようなコードが生成されます。
G# Min / G# Maj – One major third below C G# Min / G# Maj – Cからマイナーサード下へ
A Min / A Maj – One minor third below C A Min / A Maj – Cからマイナーサード下へ
D# Min / D# Maj – One minor third above C D# Min / D# Maj – Cからマイナーサード上へ
E Min – E Maj – One major third above C E Min – E Maj – Cからメジャーサード上へ
You can stack up to three lines of mediants to keep moving further by thirds.3行までの中間音を積み重ねて、サードごとにさらに進めることができます。
The last chords played are shown at the bottom allowing you to explore and copy your new chord progression to a new or existing pattern.最後に再生されたコードは下部に表示され、新しい和音進行を新しいまたは既存のパターンにコピーしたり、探索したりすることができます。
To prevent jumps in octaves between distant chords, you can enable the Group Voicing option.遠くのコード間のオクターブジャンプを防ぐために、「グループボイシング」オプションを有効にすることもできます。
Neo-Riemannian
This preset based on the Neo-Riemannian theory allows you to create chord progressions using specific transformations based on harmonic proximity.このNeo-Riemannian理論に基づいたプリセットでは、調和的な近接性に基づいた特定の変換を使用してコード進行を作成することができます。
Drag a chord into each slot to generate related chords.関連するコードを生成するために、各スロットにコードをドラッグします。
The Minimise Movement option will try to maintain the number of voices and reduce the amount of movement between chords「移動の最小化」オプションを使用すると、音の数を維持し、コード間の移動量を減らすようにします。.
The Triads Only will simplify all chords to triads ignoring the original voicing of the chord.「トライアドのみ」オプションを使用すると、すべてのコードをトライアドに単純化し、元のボイシングを無視します。
<引用終わり>
背景となる理論についての知識がないので雲をつかむような話にはなっていますが、具体的にはScalerに提示されたコードを聞いてみてよければセクションCにドラッグするだけですから作業的に難しいことがあるわけではありません。ジャッジの基準にはやはりある程度の理論の勉強が必要ですが優先順位は高くないです。EZkey 2で100曲作ってからでいいと思います()。
この転調部分スケーラーをお持ちでない方で自分も転調したいんだけど「どうしたらいいの」と思われた方にはこちらの書籍をご紹介します。すごくたくさんパターンが紹介されているのでアマチュア作曲家が困ることはないと思います。僕ももう一度読み返しておこうと思います。
本書はキンドルアンリミテッドでサブスクしていれば読めますが、紙の本にもメリットはありますので内容が気に入ったら購入をお勧めします。
いかがだったでしょうか?
EZkey 2の方はすぐ曲になる。Scaler2の方はさらに音を深掘りできる。いい感じに棲み分けができているのではないでしょうか?内容については少しずつですが噛み砕いてご紹介していけたらと思っています。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう!
本日のGPT
みつる:音楽理論について教えてください。MediantsそれからNeo-Riemanniaとはどのようなものですか?中学生にもわかるように平易な表現で解説をお願いします。
ChatGPT:もちろんです。音楽理論は少し難しく感じるかもしれませんが、一緒に探ってみましょう。
まず、「メディアント」とは音楽理論における専門用語で、主要な和音(主和音、副和音)の間に位置する和音を指します。キーがCメジャーだとすると、主和音はC(ド)です。副和音はG(ソ)です。メディアント和音は、これらの中間、つまりE(ミ)となります。メディアント和音は、音楽に変化やトランジションをもたらす役割を果たし、音楽的な表現を豊かにします。
次に、「ネオリーマン理論」について説明します。これは、19世紀の音楽理論家ヒューゴ・リーマンの理論を現代の音楽理論に適用したものです。リーマンは和音をどのように理解し、どのように互いに関連付けるかについて新しい視点を提供しました。彼の理論では、和音は単なる個別のエンティティではなく、互いに変換できるものとして扱われます。
ネオリーマン理論では、和音間の関係を3つの基本的な変換、つまりP(平行)、L(導音交換)、R(相対)で表現します。これらは、ある和音から別の和音へ変換する方法を示しています。例えば、P変換はメジャーコードをマイナーコードに(またはその逆に)変えることを指します。これは、同じ根音を保持しながら、メジャーとマイナーの3度を切り替えることで達成されます。
例えば、Cメジャー(C-E-G)をCマイナー(C-Eb-G)に変えるとき、これはP変換とされます。同様に、L変換とR変換も特定の音を変更することで新たな和音を作り出します。これらの変換を理解することで、ある和音から別の和音へどのように移行するか、音楽がどのように進行するかを理解することができます。
ネオリーマン理論は、音楽の和音の進行や関係性を考える新しい方法を提供します。しかし、これは音楽理論の一部であり、音楽を作るためや理解するための唯一の方法ではありません。それぞれの理論は異なる視点から音楽を理解するためのツールなので、あなたがどのように音楽を理解したいかによって、どの理論を使うかを選ぶことができます。