音楽の三大要素はリズム・メロディ・ハーモニーと言われていますが、個人的に一番ムズカシイと感じるのがハーモニーです。リズム、メロディはなんとかできても、曲の形にするときにうまくまとめるのは工夫が必要。ながらくコードを取り扱ってきて、すこし音の合算について具体的なイメージがつかめるようになってきましたので、実作にあたり今の自分の環境でどんな課題があるのか、少し考えてみたいと思います。ハーモニーの語源そのものにさかのぼるとヒントが見つかると思います。
この記事でわかること
ハーモニーの語源
西洋音楽におけるハーモニーの歴史
今の作曲でハーモニーに含められること
辞書的な意味
こんな感じです。
「ハーモニー」という言葉の語源について説明します。「ハーモニー」は、ギリシャ語の harmonia に由来し、これは「音の一致」や「調和」を意味します。この言葉は、ラテン語の harmonia を経由して、古フランス語の harmonie または armonie に取り入れられました。14世紀後半には、英語において「耳に心地よい音の組み合わせ」という意味で使われ始めました。ギリシャ語の harmonia は、文字通り「結びつける手段」を意味し、船の板の留め具や関節、肩などを指す harmos と関連しています。さらに、この言葉は印欧祖語の ar(ə)-smo- という語根に遡り、「適合させる」という意味を持っています。このように、「ハーモニー」は音楽における調和や一致を表す言葉として発展してきました。また、音楽以外でも、物事の調和や人間関係の調和を示す意味でも使用されるようになりました。
西洋音楽におけるハーモニーの歴史的変遷
ハーモニーの歴史に関する情報は、以下のように確認できます。
古代から中世
- 古代ギリシャとローマ: 古代ギリシャでは、音楽は主に単旋律的であり、ハーモニーの概念は現代のように発展していませんでした。ギリシャ音楽はモードやスケールに基づいており、ハーモニーというよりはメロディに重きを置いていました[3][4]。
- 中世ヨーロッパ: 中世には、オルガヌムと呼ばれる初期の和声が発展しました。これは、主旋律に対して固定された音程で別の声部が加わるもので、和声の初期形態を示しています[6]。
ルネサンス時代(15世紀-16世紀)
- ルネサンス: この時期には、多声的な音楽(ポリフォニー)が発展し、和声がより複雑になりました。異なる声部が独立して動くことができるようになり、音楽が多層的になりました[4].
バロック時代(17世紀-18世紀前半)
- バロック: トーナル(調性的)なハーモニーが発展し、和声の理論が整備されました。バロック時代は、和声が音楽の重要な構成要素としての地位を確立した時代であり、ヨハン・セバスチャン・バッハの作品がその代表例です[4].
古典派(18世紀後半)
- 古典派: ハーモニーはより均整が取れ、シンプルかつ明確な形式が好まれるようになりました。モーツァルトやハイドン、ベートーヴェンの音楽は、この時代の和声の美しさを象徴しています[2].
ロマン派(19世紀)
- ロマン派: ハーモニーは感情表現の手段として拡張され、不協和音や複雑な転調がより多く用いられるようになりました。作曲家たちは感情を強調するためにハーモニーの色彩を豊かにしました[4].
近代(20世紀以降)
- 近代音楽: 調性の枠を超えた自由な和声が追求され、無調音楽やジャズのような新しい和声の形態が登場しました。シェーンベルクの12音技法やジャズにおけるブルーノート、複雑なコード進行などが代表例です[4].
現代
- 現代音楽: 和声の可能性はさらに拡大し、電子音楽やコンピューターミュージックの分野でも新しい和声の探求が続いています。和声は従来の理論に縛られない自由な表現の場となっています[5].
このように、ハーモニーの歴史は音楽の進化とともに発展してきたことが確認できます。
Citations:
[1] http://www.medieval.org/emfaq/harmony/chords.html
[2] https://www.bbc.co.uk/bitesize/guides/z8tsh39/revision/4
[3] https://en.wikipedia.org/wiki/Music_of_ancient_Greece
[4] https://www.britannica.com/art/harmony-music
[5] https://www.cam.ac.uk/research/news/pythagoras-was-wrong-there-are-no-universal-musical-harmonies-study-finds
[6] https://www.britannica.com/art/harmony-music/Harmony-before-the-common-practice-period
[7] https://www.etymonline.com/jp/word/harmony
コンピュータミュージック的な意味
音の調和という事なので、ハーモニーは和声だけではなくミックス・マスタリングという最終形を含む、といってよさそうですね。私たちにとっての今日的な意味付けでは、作曲そのものもののなかに音の加工が含められているからです。すくなくともDAWでの音楽のつくりかたはそうなっています。
自分の作った楽曲を自信をもってリリースしたいですから、ベーシックなスキルはマスターしたいところ。やりたいジャンルのリファレンスを聞いて耳を育てることがスタートラインになりそうです。それをDAWでどう表現するのか?次はチュートリアルを勉強ですね。こちらについては、いいのが見つかったらまたご紹介します。
1曲にするには?
ハーモニーの守備範囲がひろがっているという現状から書きましたが、リズム・メロディに関しても、AIによるアシストが普通になることで、えらべる素材は豊富になっています。AIは曲の完成形もつくれますが、お試し用のモックアップをたくさんつくれる、というのがとりあえずの役割のように感じます。それなりに試行を繰り返さないといいものができないというのがAIの特性ですが、多少の手間はかかっても、人が作る場合にくらべれば、アイディア出しが時間やコストのリスクなくできるのは良い点です。材料がそろえば、ハーモニーもいろいろなタイプのものを試すことができます。なお、予定調和をはみ出しながら楽曲にまとめるのは、ジャッジできる音感とセンスをもった「人間」にしかできないことです。
これめっちゃ良くないですか?
いかがだったでしょうか?
自分が様々な素材をもっているとしたら、その要素をきちんと使ってハーモニーを作り上げるのは、今のAIには難しいことです。今後はまとめるスキルにも注目しながら、情報を集めていこうと思います。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう。