いまのところカギになるのはこれかな?と感じていることがあるのでちょっと記事にまとめてみますね。これまで音感とは「無意識に覚えている音の記憶をいかにスムースに呼び覚ますか」の問題ですという話をしてきました。最近あらたに「曲をきく」ときにきいているのはじつは「自分が頭のなかでバーチャルに再生している音楽である」との知見を得ました。この両方の話は実際は内容はまったくいっしょ。ひとつひとつの音に着目するか曲の流れに着目するかの差にすぎません。音感がよくなればそれだけ音楽を楽しくきけるようになる。逆にたくさんの音楽的な経験をつめばつむほど音感はよくなる。ポイントはこの音楽的な経験の中身なのですが「根本になるところ」を整理すると効果は何倍にもなる。つまりなんとなく漠然ときいているか分かってきいているかの違い。それでは「分かる」ためにどうしたらいいのか?これだけはやったほうがいいことは何か?それが今回お話する内容になります。
この記事でわかること
- いそがしいひとのために《結論》
- じぶんで音を出して確認する
- 楽器はなにをつかえばいいのか
- 楽器を買う目的
- たとえばYAMAHA PSS-A50の優れている点は?
- このブログで最初に言ったこと
- エッセンシャルなワークの意味
結論から(理由はあとで説明します)
お忙しいかたのために結論から。音感がよくなるためにすることは
1)ピアノで
2)右手4本ゆびで(使う指はきまっています。後述します)
3)階名(d r m f s l t)でうたいながら
4)12のkey(調)で
5)音階Do Re Mi Fa So La Tiをひく
譜面と音を置いておきます。毎日5分やれば十分です。慣れれば全部ひいても5分なんてかかりません。僕のように1年たらず(正確には8か月)で音に関するストレスが一切なくなって、音楽が文字通り「楽しいだけ」のものになります。なおできるだけ良い音のピアノ・ピアノ音源を使ってください。あとで説明しますがモチベに直結するので楽器の音は思っていたよりもはるかに重要です。
譜面と音はこちらになります。
<2023/5/24追記Maiさん(Synthesizer V)にdrmでうたってもらいました>
ひきかた(速く引く必要はまったくありません)
ピアノは指をのせるだけで音が出てしまう楽器です。そのため自分でも何をしているかわけのわからない状態で音を出してしまう可能性があります。そんなことをしても全く音感はよくなりません。一音ずつ確認し(うたい)ながらゆっくり音を出してください。
ひく指は決まっています
おなじ名前の音はかならずおなじ指でひきます。d 親指 r 人差指 m 中指 f薬指 s 親指 l 人差指 t 中指 d薬指です。1小節が一度に右手でひく範囲になっています。
なにをやっているか?
音階をひいています。d r m f s l t はDo Re Mi Fa So La Tiのことつまりカタカナで書くドレミといっしょです。7つの音を認識しながら12の調でひいていきます。二つの意味があります。
〇音階を覚える
d l mのならびを覚えます。親指と人差指の間は半音2つ 人差指と中指の間は半音2つ 中指と薬指の間は半音1つ この間隔はdrmfでもsltdでもかわりません。
〇1つの同じ音が別のkeyでは別の役割をしていることに《慣れ》ます。
例えばkey=CのDoであるC音は
keyBbのre
keyAbのmi
keyGのfa
keyFのso
keyEbのla
keyDbのti になります。
こんなふうに同じ音が別の役割をすることに「慣れて」ください。慣れると聞いたメロディのdrmがわかるようになるからです。
楽譜の順番は
スタートになれる音は12種類。したがってdrmの音階は12種類あります。12回ひくわけですが規則的にひいていけるかんたんな方法があります。それはひきおわった音階のsltdをつぎの音階のdrmfにすることです。こんなことができるのは音型とひくゆびが共通だから。まったくおなじ音型を2回くりかえして続けてひくとうまれるのが「長音階」drmfsltdです。
1)ピアノを使う理由
ここからはこの方法で音感がよくなる理由を説明していきます。まずピアノを使う理由。ピアノは音高順にキーが並んでいるのでどの高さをひいているのかが一目瞭然。音も音程を聞き取りやすい音色です。そもそもの話この二つの理由でピアノは人気がある楽器。初心者に向いています。知っておいていただきたいのはよい音の楽器でないと長時間弾き続けられないということです。逆によい音の楽器だと脳内ホルモンが活性化しますのでひくのがやめられなくなりますw。YAMAHA PSS-A50 とか iOS版のRavenscroft 275(購入しました)は所有していますが初めてひいたときに驚くほどのインパクトがありました。それくらい音のいい楽器の音は違います。もうひとつ単音がきれいなだけではなく和音をひいたときにハーモニーが美しく感じられるように調整されています。これは楽器メーカーでないとちゃんとはできないことですね。
2)決まったゆびでひく理由
記憶と動作を結びつけるため。音を出すという動作をストレスなく行えるようにするためです。考える・判断するというプロセスがはさまると動作は遅くなりストレスにもなります。何も考えずに音がだせるようにするためにひくゆびを決めています。
3)d r m階名で歌う理由
2)と同じ理由ですが動作のときに階名を思い出すプロセスが加わると動作は遅くなりストレスが生じます。英米式の階名は12音17種類の全ての音をシャープ・フラットを区別したうえで「なにもおぼえずに」歌えるので採用しています。できるだけ自動化することは音の記憶をスムースに呼び出すために必要なことだからです。
4)12のkeyでひく理由
さきほどもふれましたが同じ音がkeyでやくわりを変える(全部で7つの役割をもつ)ことに《慣れる》ことに意味があります。12keyでひくことによって役割は網羅されると同時にそれに接触する機会もマックスになります。最大限に触れて《慣れ》るために12keyでひいてゆきます。
5)Do Re Mi Fa So La Tiの音階をひく理由
この音階がもっとも数多くつくられているポピュラーソングのフォーマットだからです。みにつけておくと多くの楽曲が自然に理解できます。また自分でもこの音階を用いて曲をつくることができます。のこりの5音10種類のフラットとシャープは音階からの変化形ととらえることができます。子音がiに変化するとシャープ。do→di re→ri fa→fi so→si la→li。子音がeに変化するとフラット。例外はreのフラットraです。ra←re me←mi se←so le←la te←tiとなります。7音の長音階 (d r m)を基準にすればその間の音も認識できるようになります。
このブログで一番最初に書いたこと
それは自己紹介を別にすれば「音の名前を覚えましょう」ということでした。理由は人間は名前を知らないものは覚えられないから。もちろん当時は文字通りなんと呼ぶかという「名前」だけだったわけですが、ここまできて実際の音といっしょにセットで覚えられるようになったのは感慨深いですね。音とセットになった音の名前(階名)は音を認識するベースになるものですからエッセンシャルに音感をよくしてくれます。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう!