音感トレーニングや音感トレーニングアプリには使用上の注意点があります。常々僕が申し上げていることですが、「トレーニング」には音感をみにつける上でとてもマイナスな効果を生じてしまいかねない要素があります。今回その理由が明らかになったので、みなさんにシェアしたいと思います。
この記事でわかること
- 音感をみにつけつつある僕だからいえること
- 「トレーニング」の本質的な問題点
- 音感をみにつけるために必要なことは2つだけ
最近アプリ(FET)をご紹介しました
これのベーシックコースの第1章はクリアできました。
1年前にブログを始めた時だったら(実際にやってはいませんが)まったく無理だったでしょう。だから音感はこの1年で身についたものと言えます。でも僕はこのアプリで「トレーニング」をしたから、問題に正解できるようになったわけではありません。僕がやっていたことは、ブログの記事を書き、どんな方法ならみなさんに伝わりやすいかを考えながらミニキーボードに触っていたことだけです。とくに辛かったことはなにもありません。楽しいから続けられました。次第に音がわかるようになった実感はありましたが、それを確かめるようなことすら全くしていませんでした。なんとなく自分は「音感がよくなった」と思っていただけ。今回のアプリがはじめての客観的なテストです。
苦痛をかんじたらすぐにやめて下さい
もし僕がブログでご案内している音階のアルペジオやコードのひきかた。また今回紹介したアプリなどが、試してみてうまくできないのであれば無理はしないでください。やってみて苦痛を感じるというのであれば、すぐにやめて欲しいのです。いまのあなたが音感をよくするために必要なのは「すきなメロディを楽しんでひくことだけ」だからです。音楽が楽しめているあなたには音感は必ずあります。だれもがもっている音感はあなたにも必ずあります。いまはそれを育てていく時期です。
がまんして続けるトレーニングが有害な理由
がまんして続ける「トレーニング」があなたにとって有害なのは、それが「自分には音感がない」ことを自分に思い込ませる行為になってしまうからです。すでに書いたとおりそれは事実とは正反対です。音感は音の記憶ですから誰しももっているもの。単にそれを呼び覚ます力がまだ弱いだけなのです。しかしトレーニングでうまくひけない、トレーニングアプリで正解できないとなるとまるで「自分には音感がない」ように感じてしまうはずです。その状態でトレーニングを続けることは、失敗や間違いを覚え、さらには「自分には音感がない」という誤った考えを自分に思い込ませる結果となってしまいます。
あなたに必要なのは
あなたに必要なのはそのようなマイナスのトレーニングではありません。楽しんで自分の好きなメロディをおぼえて、それをひくことだけです。それができるということは、あなたに「音感」がある何よりの証拠なのです。
ピアノえほんを1周しても
僕自身がいい例なのですが、長年にわたって「自分には音感がない」と思い込んできました。するとどうなるかというと、ピアノえほんを1周して一度全部ひけるようになっても、まだ、「自分には音感がない」と思い込んだままなのです。冷静に考えれば、全く音感がなくてメロディを覚えられるはずはありません。少なくともピアノえほんのやさしいメロディをおぼえるだけの音感はもっているはずです。しかし、いま思うと当時は譜面にたよって自分がいまひいている音がなにかよくわからないままにひいていました。この表現には矛盾があるようですが、譜面を見て音の高さやどこの鍵盤をひけばいいかがわかるということと、「自分の中ではっきり音を感じてひく」というのは別のことです。それができるようになったのは、音の名前をおぼえ、「みつる式」でひくようになってから、つまりピアノえほん2周目ではじめてできたことです。そしてそうなって初めて自分に「音感」がみについてきたと感じることができたのです。
音感をみにつけるために必要な2つのこと
以上の自分の経験からわかるのは音感をみにつけるためには2つのことが必要だということです。
ひとつは
・自分には音感があると思う<実感する>こと。
(音感があるからこそメロディをおぼえてひけている。)
もうひとつは
・好きなメロディをおぼえて階名で歌いながら<完璧にわかった状態で>ひくこと。
(みについてきた音感をどんどんつかって楽しむ。)
かっこ書きにしたとおり、この二つはお互いに相手を強化する関係になっています。また、ここには辛さをがまんしなければならないような要素はなにもありません。
メロディをおぼえられるのは音感が育った証拠
どんなにかんたんなメロディであってもひけるようになるのはうれしいもの。そしてひけるようになったということはあなたの音感がよくなった証拠なのです。つい最近僕も同じ道を通ったばかりですから、これははっきりと断言することができます。そして<完璧にわかった>状態をつくりだしてくれるのが「みつる式」のひきかた。なぜそういえるかというと、手の形がそのまま音階になるからです。同じ音符は曲がちがっても必ず同じ指でひきます。つまり「みつる式」の場合『ひける』=『完全にわかる』なのです。
あなたには音感があります
あなたには確実に「音感」があります。メロディがひけるということのほかにもう一つ例を挙げてみたいと思います。なんとなくでけっこうですので、drmfsltd(ドレミファソラシド)を歌ってみて下さい。自分がDoだと思う音を思い浮かべてみて下さい。するとその音は毎回大体同じ高さのはずです。自分が無理なく歌える範囲の下の方の音になっているはず。毎回同じ高さということはあなたにとってのDoは大体きまっているということ。つまりあなたに音感がある証拠です。あとはその音の記憶を自由に呼びだせるように記憶を引き出すことを繰り返せばいいだけです。
いかがだったでしょうか?
「自分に音感がない」という思い込みは事実に反しています。日常的に正しい音を出す楽器で作られた音楽を聴く機会の多い現代人にはむしろ正しい音感を持たないことのほうが難しいはずです。あなたがなんとなくDoだと思っている音も、おそらくピアノの鍵盤のどこかに当てはまる可能性が高いです。いっぽうその「音感がない」という思い込みが「先に進む」ことの障害になっていることは非常に多いのではないかと感じます。「みつる式タッチタイピングピアノ」なら自分の中にある音が見つかります。「みつる式」がその思い込みをとりのぞくきっかけになれば自分にとってこれほどうれしいことはありません。つい先日まで自分もそこにいた霧のなかから脱出し、どうぞ広々とした色鮮やかな音楽の世界をご覧になっていただきたいと思います。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう。