このブログで取り上げてきたコード学習アプリ「和音博士」について、内容の説明が一応終わりました。みにつけるための練習曲に関しては、まだダイアトニックとセカンダリードミナントしか作っていませんが、全体の「考え方」と「やって行き方」はつかめたように思います。この記事では、簡単に総括して、今後やることについても考えてみたいと思います。さて、ここまで終わってみて和音博士攻略はロッククライミングでしたか?それともハイキングでしたか?
この記事でわかること
- 和音博士は高い山だったか?
- コードとはなに?
- 今後の課題:和音博士に登場しないテンションノート
和音博士は高い山だったか?
最初におことわりしておくと、このブログはその時点でのぼくの状態とその状態で理解できたことを記録しています。理解できた瞬間が一番、記憶に鮮明で印象も深いですから、それを記録していくことはスキルを後戻りさせない効果があるからです。また、そのステップ・バイ・ステップを共有することは、初学者のみなさんにとっても何かしら、発見があるのではないか?と考えます。
ぼくの現状は黒鍵の音がある程度わかるようになった&ダイアトニック・セカンダリードミナントが12keyでおさえられるようになった、というところ。つまり和音博士のコードが全部おさえられるようになっているわけではありませんが、それでもコードについての理解はめちゃめちゃ進んだと感じています。当初とても登れないと思っていた高い岩壁は、途中からなだらかな丘に変化していったと感じています。その理由は何だったのでしょうか?
なだらかに変化した理由
理由は大きくわけて二つ。和音博士に教えてもらったことと、自分で見つけたことです。
和音博士に教えてもらったのは、調性音楽の成り立ち。keyごとにダイアトニックコードがあり、それが4度進行する、ということです。key=Cで言えばBm7b5→Em7→Am7→Dm7→G7→Cmaj7→Fmaj7ですね。さらにこれがセカンダリードミナント・その代理コードへと変化していきます。
自分で見つけたのはこの具体的なおさえかた。lTrf→strM→sLdm→fldR→Strf→stDm→Fldmをみつけたことです。実際におさられるようになってわかったことは4度進行は指2本の変化、セカンダリードミナントは指1本の変化だったことです。そしてコードをおさえる左手fからfまでの範囲でおさまり、そのとき小指は白鍵1本しか動かないということでした。
このことが実際にでき始めて、コードは自分にとって非常に親しみのあるものに変化したのです。
ミストーンが致命的な理由
ひき間違えると音楽が成立しない理由は、1音の意味がそれだけ重たいからだと言えます。2音の変化でコードが進行するくらいですから、1音でも変われば音の意味が全く違ってしまうのは当然です。同様に怒鳴ってしまうと歌が上手く歌えないのは、音楽として聴いてもらう前提として声をち密にコントロールして音程にのせる必要があるからです。でも委縮する必要はありません。音を把握するための音感は今から身につけられるからです。
音の把握を簡単にする
簡単にするための一番いい方法は音を名前で呼んで、それを覚えるということです。幸いなことに音には12種類しかありませんので、それぞれが別の音に聞こえさえすれば区別することは容易。そうなればミストーンを恐れる必要もありません。また、音感が身についてくると、協和・不協和の判断や、コード進行が音の流れとして成立しているかどうかの判断も自然にできるようになります。余談ですが、作曲者の意図の通り音楽をより深く楽しむことができるようになりますので、自分で演奏するためではなく、音楽を楽しむためにキーボードで音感を磨いていくというのもとても意味のあることではないか?と思います。
コードについてのとらえ方
現状ぼくの理解では、コードとはピアノ中央のC4付近でそのkeyのルートを中心になっている、もやっとした音のかたまりという認識でいます。ぼくはピアニストではなくDTMerなので、むしろ低域のルートはピアノでひくべきではなく(音が濁るため後でカットしなければならなくなるので)、ベースに任せるべきと考えています。このかたまりのなかに、必要な音の周波数が入っていればOK。メロディとの兼ね合いで「こっちの方がいい」という場合はでてくると思いますが、そこで登場するのがテンションということだと考えています。もちろんメロディ自体がコードトーン以外のテンションのこともあります。
メロディとテンションの関係
このとき、一つ一つテンションコードとしてとらえていくのか?それともコードとメロディに分けて考えていくのか?というのは、目的に違いがあるように感じます。作曲者やアレンジャーであれば、曲全体の一音ごとに音の積み重ね方を考える必要がありますが、演奏する目的であれば、かえってわかりにくくなるでしょう。ピアノ初心者がいろいろな曲をひいて楽しむ場合には、基本コードを身につけるという意味も含めてコードについてはなるべくシンプルな表現が望ましいと思います。たとえば先ほどのC4付近の音のかたまりのように表現しておけば、ひきやすくて覚えやすくもありますので、初心者でも十分演奏して楽しめるものになるだろうと考えています。
和音博士におけるテンション
和音博士も基本的にはポップスの伴奏という事が念頭にあると思うので、4和音がベースでテンションは9thまでとなっています。つまりアレンジとしてテンションノートをどう扱うか?というのは「和音博士」攻略後の課題ということになります。これは具体的にはテンションノートを組み込んだコード進行をどれだけ知識としておぼえるか?という話になってくると思いますが、まさに作曲者・アレンジャーとしての課題ではないでしょうか?方法を含めて今後検討していきたいですね。一つパターンを知ればすぐ楽曲製作に使えるので、即戦力的な内容であることは確かですから、効率的な方法を自分のものにすればこの先ずっと楽しみつつ使っていいけると思います。
いかがだったでしょうか?
結論的には和音博士は急峻な高山ではなかったわけですが、それは、和音博士に取り組むと同時に、音感とコードのおさえかたを身につけることができたから、ということなのかもしれません。ぼくの場合、キーボードでおさえられるようにならないと、コードは理解できませんでした。というのはコードは連続した連なりを繰り返し聞く中ではじめて理解できるからです。先ほど書いた「指一本の変化」というのも、その中でわかったことです。現在の自分は、連続したコードをスムースにおさえられるようになることが音感や指先の感覚を含めてコードを体感で理解する一番の早道だと考えています。理解しながら最速で聞ける方法がそれだからです。もちろんコードの記号と音の記憶だけでコードを理解できるかたもいらっしゃるとは思います。しかし、少なくともぼくには無理でした。それが無理なかたにとって、ぼくのできた方法が、すこしでもお役に立てばという気持ちです。なにより過去の自分にもっと早く教えてあげたかったですね。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう。
参考記事
音感をみにつける(カテゴリーみつる式タッチタイピングピアノ)
https://4fingermusic.com/category/learning/mitsurushiki/page/3
コードのおさえかた
本日の参考動画
プロ作曲家がテンションノートの取り扱い方についてのイントロダクションを解説してくださっています。たぶん1年前ならあまりピンとこなかった内容だと思います。メロディを安定させるため、または彩を与えるためのテンションというコンセプトは今なら腑に落ちます。
もう一本今回の内容とは直接関係がありませんが、ミキシングにおける「こういう結果が欲しいから」というコンセプトは、作曲の段階、もっと言えば楽曲のテーマ決めの段階にも関わってくる話ではないでしょうか?テクニカルな隘路にはまり込む前に知っておきたい話だと思いました。