ピアノのコードネームはひとことで「難しすぎ」ます。コードネームを見ても鍵盤をどうおさえたらいいかわかりません。とはいえみなさんがひいてみたい曲は「コード譜」が多いはず。コード譜はメロディがあって、伴奏のコードだけ書かれています。ぼくたちはがんばって挑戦しますが、たいていの歌は歌手の声のおいしいところに合わせて書かれていますからあたりまえのように曲がCから始まりません。その結果メロディに黒鍵続出。コードをみてもフラットやシャープが続出。そこで「ギブアップしてあきらめる」というのが普通だと思います。以前のぼくもそうでした。でもやり方をかえて「ドレミ」でメロディとコードを理解するようにしたら黒鍵がこわくなくなってどの調の曲でも同じようにひけるようになってきたんです。ここではぼくができるようになった<やり方>を共有したいと思います。この記事では白鍵の音階(key=C)の基本コードを<手の感覚>で「ひける」ようにしたいと思います。まず白鍵だけのやさしいkey=Cでコツをつかんでください。おなじ方法で、どの調でもいけます。考え方は共通だからです。例としてkey=Gもやってみます。key=Cがわかればほかの調も同じ。調は12ありますから時間をかけてOKです。<ひけるようになる>過程は<音感がよくなる>過程も兼ねています。コードの音感や手の感覚といった神経回路の調整が入りますから時間は必要です。ひける調はレパートリーとあわせて、だんだん増やしていきましょう。この記事では基本的な方法を解説します。読者のみなさんがコード譜にもう一度チャレンジするきっかけになればと思います。
- 1 この記事でわかること
- 2 おことわり=ご紹介するのはぼくがピアノコードの一覧をドレミでひけるようになった方法です
- 3 ピアノコードの音をコード一覧表から実際に聞いてください
- 4 和音博士最初のコード一覧
- 5 では早速一曲ひいてみましょう
- 6 音が聞けましたー今度はピアノでコードの一覧表をひく方法です
- 7 コードの<もと>になるのは音階
- 8 コードで使われるローマ数字の意味
- 9 コードのアルファベットの意味
- 10 ローマ字表記のコードをひいてみる
- 11 key=Gのドレミは?コードはどうなる?
- 12 かわったのは音名ーDo Re Miはかわらない
- 13 key=Cの基本コードをドレミ(階名)であらわすと
- 14 音階をわかるのはたいへん?
- 15 ピアノのコードの一覧をドレミでひくためにー音階のひきかた(右手)
- 16 12音階はたった一つの手の形でひける
- 17 サークルオブフィフスのなりたち
- 18 ピアノのコードの一覧をドレミでひくためにーコードのひきかた(左手)
- 19 key=Cピアノの基本コードー基本コードのベースとなるコードのおさえ方
- 20 key=Cピアノの基本コードのおさえ方
- 21 「となりの鍵盤」で注意すること
- 22 となりには2種類ある
- 23 key=Gの基本コードをひいてみよう
- 24 いかがだったでしょうか?
- 25 <参考1>和音博士のコード一覧表をひける階名で表記しました
- 26 <参考2>12keyで音階と基本コードのおさえかたがわかります
この記事でわかること
- 音の出る「一覧表」でコードの音を聞きましょう
- 音階の7音がつくる基本コードは7つ
- 基本コードが手の感覚で「ひける」
- key=Cでひけるようになったら
- 他の調のひきかた。コードネームを読みかえる。音階とコードのおさえかたを知る
おことわり=ご紹介するのはぼくがピアノコードの一覧をドレミでひけるようになった方法です
このブログを始めた22年の8月の段階ではコードについてはぼくは何もわかっていませんでした。読者のみなさんにご説明できる日が本当にくるのか心配していたほどです。いちおうコードネームの仕組みは知っていました。しかし、ただそれだけ。鍵盤を前にしたとき全くおさえられませんでした。文字通り手も足も出ない状態()。現在は基本コードをすべてのkeyでおさえられるようになっています。なので、この記事ではそれが可能になる方法がわかるとお考え下さい。もちろんすでにできる方には必要ありません。またぼくができた方法が「たったひとつの正しいやり方」と申し上げるつもりはありません。自分にはこれ以外の方法ではムリでしたが、人間の感性は千差万別。ある人にとってやりやすいことが、ほかの人にとっては感覚的に難しいということもあり得ます。ご自分に合うかもしれない選択肢のひとつとしてお試しいただければと思います。
ピアノコードの音をコード一覧表から実際に聞いてください
コードは音がテーマですから、音がないと話が始まりません。無料のスマホアプリで実際にコードの音を聞いてみましょう。携帯できて音の出る「コード一覧表」になります。このブログでおすすめしている素晴らしいアプリは「和音博士」といいます。リンクはこちらになります。
おすすめの理由は、コードをたんなる一覧ではなく「音楽的な意味」に基づいて配置しているからです。逆にこのアプリのなりたちが理解できれば一般的なポップスのコードのことは分かったも同然というすぐれものです。さらにこの「和音博士」にはコードが学べるていねいなチュートリアルがついています。ほとんど入門書一冊の充実した内容ですが、それも含めて<無料>。「和音博士」は時間をかけて楽しみながらじっくり取り組んでいただければと思います。
和音博士最初のコード一覧
さっそく画面から見てみましょう。「和音博士」では画面全体が特定の調の専用となっています。使われるコードだけが表示される仕組みとお考え下さい。コードは非常にたくさんありますが、ひとつの調で使うのは全体の12分の1。これは調が全部で12あるためです。使わない他調のコードの表示はムダですから合理的な配慮です。また、基礎から応用へむかって使うコードの表示は段階を追ってふえていきます。画面は7×18の表になっていて、一つの調で126のコードを表示する欄があります(音も出ます)が、実際使うのはこのうち最大で53。最初はわずか6個からスタートします。したがって「和音博士」なら調ごとにどのコードが実際につかわれるのか?どれから覚えたらいいのか?、と迷うことはありません。これがおすすめの理由2です。画面のKEYをタップ。Cをえらび、歯車をタップして「エモ味ランク」を「素味」に設定するとこの初期画面になります。
では早速一曲ひいてみましょう
C G Am F C G F C
和音博士のそのままのサウンドです。爆音注意でお願いします。
まず色のついている中からコードの場所をさがしてください。見つかったら今度はゆっくり一定のリズムで押してみて下さい。
なんの曲かわかりましたか?ビートルズのレットイットビーっぽい!「和音博士」をつかうとこんなふうに伴奏がひけます。好きな曲のコード。歌本やChordifyなどで曲のキーとコードがわかったら和音博士のKEYをタップ。サークルの中から曲の調を選びます。つぎに出てきた表の色付けされたところからコードを探します。なければ「エモ味ランク」を上げて探します。やさしく編曲されているポップスなら「濃味」(23コード)くらいの範囲でみつかると思います。ざっくりとですがこんな使い方で様々な曲のコードを聞くことができます。
音が聞けましたー今度はピアノでコードの一覧表をひく方法です
「和音博士」の使い方はシンプルなので、みなさんもご自分でコードを探しやすいと思います。これでコードの「音」はわかるようになりました。音感がよくなりますので、自分の好きな曲とそのコードをたくさん聞いてみてください。さて今度はこの記号であらわされているコードをピアノでひく方法です。
コードの<もと>になるのは音階
ピアノの鍵盤の低いドから高いドまでの間には12個鍵盤があります。白鍵が7個。この白鍵の音がドレミの音階になります。ピアノの白鍵だけをひくとドレミがひけるのはたぶん音楽にくわしくない方もなんとなくご存じですよね。音階の7音は、Do Re Mi Fa So La Tiといいます。いきなりアルファベットになりましたが、これは英米式の階名の呼び方。1)階名であることがハッキリわかる。2)シャープやフラット(黒鍵の音)もかんたんに歌える。のでこのブログで採用しています。ぼくはこれを使ってはじめて音階とコードをひけるようになりました。いろいろ調べた中で一番単純でみなさんにも分かりやすい呼び方だと思うので、この記事ではこの階名をつかってピアノコードのひき方をご紹介していきます。
コードで使われるローマ数字の意味
さて和音博士にもどると、画面の上部ⅠからⅦまでのローマ数字がコード表の欄外に書かれているのがわかると思います。
音階は7音・数字も7つ。つまりこのローマ数字が表しているのは音階の音のことです。
ⅠはDoからはじまる和音。
ⅡはReからはじまる和音。
ⅢはMiからはじまる和音。
ⅣはFaからはじまる和音。
ⅤはSoからはじまる和音。
ⅥはLaからはじまる和音。
ⅦはTiからはじまる和音。
こんな感じになっています。「和音博士」の表のたての列はこのことをあらわしています。
コードのアルファベットの意味
和音博士のローマ数字はDo Re Mi だとわかりました。それではコードの大文字のアルファベットは何でしょうか?ここで、アプリの歯車をタップして、「度数で表示する」のオプションをオンにしてください。すると、これまでローマ数字があったところが大文字のアルファベットにかわります。これは何を意味しているでしょうか?
ローマ数字はDo Re Mi Fa So La Tiでしたね。なので同じ場所におさまった大文字のアルファベットも同じくDo Re Mi Fa So La Tiをあらわしていることになります。
key=CのDo Re Miを確認してみましょう。
ⅠはDo Ⅰの位置にCが入っているから CはDo
ⅡはRe Ⅱの位置にDが入っているから DはRe
ⅢはMi Ⅲの位置にEが入っているから EはMi
ⅣはFa Ⅳの位置にFが入っているから FはFa
ⅤはSo Ⅴの位置にGが入っているから GはSo
ⅥはLa Ⅵの位置にAが入っているから AはLa
ⅦはTi Ⅶの位置にBが入っているから BはTi
C D E F G A BがDo Re Mi Fa So La Tiだとわかりました。ピアノの白鍵がDo Re Mi Fa So La Tiでしたから、ぼくたちが真ん中のドといっているのはCの鍵盤。つまりピアノの白鍵はC D E F G A Bということになります。このアルファベットは鍵盤にくっついていて絶対に変わることがありません。なぜならその鍵盤をおせば、いつも必ず同じ高さの音がでるからです。ピアノの真ん中はいつもC。ピアノの鍵盤と同じようにギターの指板のフレットもおさえるところで音が決まっています。たとえば5弦3フレットがCです。このように音の高さをあらわす音の呼び方が「音名」。つまりアルファベットは「音名」をあらわしています。88鍵盤のピアノの場合音名はA0からC8(Cから数字が増えます)まで。ギターの場合22フレットだとE2からD6になります。楽器固有の音の高さはどこをひくかでいつも同じ。だから同じようにひけば毎回同じように曲を演奏することができます。
ローマ字表記のコードをひいてみる
音名とわかったところで、今の設定のままローマ字で表示されている次のコードをならしてみてください。
Ⅰ Ⅴ Ⅵm Ⅳ Ⅰ Ⅴ Ⅳ Ⅰ
さっき聞いた曲と全く同じですね。音の高さも変わりません。実はタップしている場所も一緒。ここでは「さっきのコードはアルファベットにかえてこんな風にローマ数字でも表示することもできるんだ」とご理解ください。
key=Gのドレミは?コードはどうなる?
さて、こんどは調をかえてみましょう。音階がスタートするDoの音をCからGにかえてみます。和音博士でやってみましょう。KEYをタップしてサークルからGを選んでください。Cの右隣になります。
オプション設定が「度数で表示する」のままになっていれば、コード一覧の枠外上部にkeyCのときとはちがうアルファベットがあらわれたはずです。
ローマ数字の順に読んでいきましょう。
ⅠG
ⅡA
ⅢB
ⅣC
ⅤD
ⅥE
ⅦF#
これが、key=GのDo Re Mi Fa So La Tiになります。
key=GのときのDo Re Mi Fa So La TiはG A B C D E F#
key=CのときのDo Re Mi Fa So La TiはC D E F G A Bでした。こんなふうにかわっています。
つまりDo Re Miの音階はkeyごとに音の高さがかわります。音階から作られるコードの構成音もかわってしまいますから、ひく場所も当然ながらかわります。ピアノで曲をひくのが難しくなる原因ですね。
かわったのは音名ーDo Re Miはかわらない
実際の音がかわりました。音の高さが変わりましたので音名がかわりました。しかし、Do Re MiはDo Re Miのまま。かわっていません。コードを表すローマ数字もかわっていません。ここで試しに
Ⅰ Ⅴ Ⅵm Ⅳ Ⅰ Ⅴ Ⅳ Ⅰ
とならしてみてください。これまでとかわらず同じ曲(レットイットビーのよう)にきこえませんか?(音は低くなって、少し力強さが増していると思います。)
ならば、コードをローマ数字で表すのをもう一歩進めてDo Re Mi(階名)で表せばよくない?。これが僕の思いつきです。コードはもともと「その音階」で伴奏に使うもの。メロディをDo Re Mi であらわすならコードの構成音も同じようにあらわすことができる。調がかわったからといってDo Re Miで覚えたメロディはいちいち覚えなおしませんよね。コードでも同じことができたら便利なはずです。
key=Cの基本コードをドレミ(階名)であらわすと
ここからはDo Re Mi Fa So La Tiをdrmfsltと小文字1文字であらわします。和音ですので煩雑にならないためです。音階の音の1音を1文字で表します。このときコードはどう表せるでしょうか?基本コードとは音階の音を一つ飛ばしで4音重ねたもの。7音それぞれがスタートの音になれますので7種類。key=Cの基本コードを音名・階名で表記し、いちおう伝統的なコード表記でも示しておきます。
key=Cの基本コード
音名ー階名ーコードネーム
CEGB – Dmst – CMaj7
DFAC – Rfld – Dm7
EGBD – Mstr – Em7
FACE – Fldm – FMaj7
GBDF – Strf – G7
ACEG – Ldms – Am7
BDFA – Trfl – Bm7b5
この3つをくらべていただくと、階名表記のメリットがわかります。音名で書けば調がかわれば音高がかわるので書き直し。コード表記も同じく音高がかわるので書き直しです。またコード表記はどこを押さえたらいいかについての情報がありません。コード表記の知識がないと瞬時におさえるのは難しいです。これにくらべると階名表記なら覚えるのはこれだけ。keyが変わっても同じ。構成音もそのままわかるので音階のどこをおさえればいいかも一目瞭然。大文字はコードの根音(ルート)を示しています。また転回形もおさえる順番で低いほうから書けば対応できます。
音階をわかるのはたいへん?
階名を使う場合で唯一困難を生じる可能性があるのは「音階がわかっている」必要があること。しかし、メロディもコードも音階からつくられているわけですから、音階はたとえて言うなら楽曲を成り立たせる<骨格>のような存在です。<骨格>を理解していないのにピアノの鍵盤をおさえるというのは、もともと無理な話。ここはにげずに音階をとらえる方向に舵を切りましょう。むしろ音階さえつかめれば、楽曲の理解は一気に進むものとポジティブにとらえることができるはずです。12もある調の音階を把握するのは無理と思われるかもしれません。でも大丈夫です。ぼくも最初はそうでしたから。幸運だったのはめちゃめちゃかんたんに音階がわかるようになる方法を自分で見つけられたこと。これからその方法をお伝えします。
ピアノのコードの一覧をドレミでひくためにー音階のひきかた(右手)
コードを作っているのは音階。音階さえわかればコードは一つ飛ばしの音。ここまでのところでなんとなくご理解いただいていると思います。それではdrmfsltdの音階はどうすればひけるでしょうか?鍵盤に手をのせたとき、自然にdrmfsltdの上に指がのればいいですよね。どの調でもそれが実現できればもう迷うことはありません。ミスタッチの心配なくスラスラ自分の思ったメロディを奏でることができます。ところが、同じようなこと。すでにぼくたちはできているんです。それはキーボードをつかったパソコンのテキスト入力。文章を思い浮かべただけでスラスラ手元を見ることなく文字が入力できています。間違いもほぼありません。この<タッチタイピング>の技術を鍵盤に応用すればひけるようになるはずです。「充式タッチタイピングピアノ(右手)」はこうして生れました。原理はタイピングといっしょですので複雑なものではありません。タイプのできる方がもっともかんたんにピアノでメロディを奏でられるようになる方法だとぼくは思っています。タイプだとどの指でどの文字を押すか決まっているように、右手の使う指は「音」ごとに決まっています。d親指、r人差し指、m中指、f薬指。ポジションを移動してs親指、l人差し指、t中指、d薬指。小指は使いません。
12音階はたった一つの手の形でひける
なぜこんなことがうまくいくか?ですが音階の形そのものに秘密があります。drmfsltdをdrmfとsltdのふたつに分けると、両方とも音の間隔が「全音・全音・半音」で全くいっしょ。親指と人差し指の間=全音、人差し指と中指の間=全音、中指と薬指の間=半音。したがって全く同じ手の形を「fとsの間隔(全音)」だけ隙間をあけて二つ並べたものがdrmfsltdの「音階」となります。一つの手の形を2回つかうことですべての音階の8音をひくことができる。このことがご理解いただけたでしょうか?
サークルオブフィフスのなりたち
音階は同じ形の4音の連結。これがわかるとサークルオブフィフスという12音階の連結の仕組みも明らかになります。同じ手の形が音階の後ろ部分にくるときはsltdとなって前の音階を終了させます。同じ手の形が音階の先頭部分にくるときはdrmfとなって音階をスタートします。例えば、CDEFはkey=Fの音階の終わりのsltdです。同時に、key=Cの始まりのdrmfでもあります。12音階は4音ずつの音の連結として次のように表すことができます。
CDEF|GABC|DEF#G|ABC#D|
EF#G#A|BC#D#E|F#G#A#B/GbAbBbCb(=B)|C#D#E#(=F)F#/DbEbFGb|
AbBbCDb|EbFGAb|BbCDEb|FGABb|
「充式タッチタイピングピアノ(右手)」はdrmfとsltdを右手の4本の指を用いて同じ指使いでひきます。手の形はたったひとつだけ。常におなじ手の形をつくり鍵盤にのせていく。このことで音階は手の感覚でひけるようになります。
ピアノのコードの一覧をドレミでひくためにーコードのひきかた(左手)
音階についておわかりいただけたでしょうか。(もちろんまだひくのはkey=CとGだけで結構です。)音階がわかったところで、いよいよコードのひき方です。音階から一つ飛ばしに4音を集めると基本コード。7つの基本コードをおさらいすると。Dmst Rfld Mstr Fldm Strf Ldms Trflでした。これをどうひくか?ですが結論からお示しします。ひきかたはstDm fldR strM Fldm Strf sLdm lTrfとなります。以下、具体的に解説します。
key=Cピアノの基本コードー基本コードのベースとなるコードのおさえ方
まずFldmを薬指を余らせた4本の指でひきます。Fに小指をおき、一つ飛ばしでldmにそれぞれ中指・人差し指・親指をのせます。これでFldmがひけました。
つぎにStrfをひきます。広げた指を全部そのままの形を保って、右どなりの鍵盤にひとつ動かします。これでStrfがひけました。
この二つのコードで重複なく音階の音すべてをひいています。このふたつが、key=Cの基本コードの<ベース>となります。なぜなら他の基本コードはこの2つから指を鍵盤ひとつ分動かすだけでひけるからです。手全体もFldmからStrfまで、となりの鍵盤に移動する範囲(鍵盤1本分)しか動きません。音の高低は下のfから上のfの1オクターブにおさまる範囲です。7つのコードをひいてもこのように手や指がわずかしか動かないため、7つの基本コードを「手の感覚=触覚」でまとめて覚えることができます。
key=Cピアノの基本コードのおさえ方
それでは、基本コードのひきかたを順にひとつひとつ見ていきましょう。
stDm : FldmのF(小指)とl(中指)を右にひとつ動かします。
fldR : Fldmのm(親指)を左にひとつ動かします。
strM : Strfのf(親指)を左にひとつ動かします。
Fldm Fldmそのままです。
Strf Strfそのままです。
sLdm : FldmのF(小指)をひくのをやめとなりのsを薬指でひきます
lTrf : StrfのS(小指)をひくのをやめとなりのlを薬指でひきます
以上で基本コード7つがひけました。
「となりの鍵盤」で注意すること
ピアノの鍵盤は特殊です。key=Cを特別扱いしてC調の音階がかんたんにひけるようにつくられています。つまりkey=Cのとなりの鍵盤は「音階のとなり」の音になっていることに注意が必要です。今回Fldmを基準に基本コードをつくりましたが、移動先はすべて「となりの鍵盤」でした。でもこれは「音階でとなり」の音です。key=C以外の音階を鍵盤でひくときにはどうなるでしょうか?
となりには2種類ある
音階のなかでとなりが半音なのはtdとmfの間だけです。今回基本コードを作る指の移動でtdはでてきません。mf間の動きをチェックしておきましょう。ここだけが半音(本当にとなりの鍵盤)。それ以外は全音(半音二つ。となりのとなりの鍵盤)と考えればいいからです。mfの移動があったのは次のふたつ。FldmからStrfをつくるとき。m(親指)→f(親指)。もうひとつはStrfからstrMをつくるとき。f(親指)→M(親指)。ここだけ隙間なく隣り合った「となりの鍵盤」。それ以外はひとつ鍵盤がはさまった「となりの鍵盤(実際はとなりのとなりの鍵盤)」となります。
key=Gの基本コードをひいてみよう
となりの鍵盤がわかったので、key=Gで基本コードをひいてみましょう。音階はG A B C D E F#です。基本コードはいつものとおりstDm fldR strM Fldm Strf sLdm lTrfで表記はかわりません。Fldmからつくっていきましょう。
Fldm: C E G Bです。37鍵盤だと一番下にギリギリおさまる4和音になります。ぼくがkey=Gをいつも一番低い調に設定しているのはこれが理由です。
Strf : Fldmから「右どなりの鍵盤」ですが、基本全音でm→fだけが半音です。するとlのとなりのtはEのとなりのFではなくF#ということがわかります。注目のm→fですがmはBなのでとなりのfはCでこちらはとなりの鍵盤そのままでOKです。D F# A Cです。
stDm : FldmのF(小指)とl(中指)を右にひとつ動かします。lのとなりのtはEのとなりのFではなくF#なのは先ほどStrfでみたとおりです。
fldR : Fldmのm(親指)を左にひとつ動かします。RがmのとなりでOKです。C E G A です。
strM : Strfのf(親指)を左にひとつ動かします。Mがfのとなり。先ほど見たとおり白鍵どうしに隙間はありません。となりの鍵盤でOKです。D F# A B です。
Fldm :そのままFldm
Strf :そのままStrf
sLdm : FldmのF(小指)をひくのをやめとなりのsを薬指でひきます。sがFのとなりでOKです。 D E G Bです。
lTrf : StrfのS(小指)をひくのをやめとなりのlを薬指でひきます。lがSのとなりでOKです。E F# A C です。
今回は念のため音名を書きましたが、となり=基本全音・td,mfのみ半音とわかっていれば、いちいち音名を確認することなく階名と指の感覚だけでおさえることができます。Fldm Strfから基本コードをつくるときの音の距離はどのkeyでもおなじ。指を移動させる感覚もいっしょです。key=Cのコードからじっくりためして、しだいに他の調へとひろげていってみてください。
いかがだったでしょうか?
key=Cとkey=Gの基本コードをひいてみました。音階とその階名がわかれば「コード」も理解できる。そう思っていただけたのではないでしょうか?まずはkey=Cの基本コードからおさえてみていただければと思います。そして、コードをひくときは必ずメロディをいっしょにひいてください。最初はこんな風にシンプルでOK。ルートをひくだけのメロディですが、コードの価値はメロディで何倍にもなります。コードのハーモニーとしての役割をぜひ感じてみてください。
基本コードーメロディ
stDm - d
fldR - r
strM - m
Fldm - f
Strf - s
sLdm - l
lTrf - t
ほかの記事ではすべての調で音階と基本コードをご案内しています。よろしければご参考になさってください。
それではまた次回のブログでおめにかかりましょう。
<参考1>和音博士のコード一覧表をひける階名で表記しました
全部のコードを表示させると「和音博士」の画面はこのようになります。
今回の記事と同じルールで階名表記しました。お役立てください。
<参考2>12keyで音階と基本コードのおさえかたがわかります
こちらの記事をご参照ください。