メロディ・ハーモニーと取り上げてきて、このブログもいよいよ音楽の3要素の残りの一つである「リズム」を取り上げる時期が来たようです。ポピュラー音楽においては、まずリズムをキープできることが大切。
そのうえで「音楽的なリズムの感じ方」まで身につくと、音楽を楽しむベースになりますし、自分が作る時のアレンジや演奏に活かせるようになります。
この記事では、僕がいいなと思った、2種類のリズムの感じ方を、シンプルな習得法からスタートして解説します。なお、ここでは、厳密な定義より体で再現できることを優先し、どなたでも再現性のある練習として整理しています。
リズムキープ(まずは等間隔でOK)
メトロノームを使いましょう。スマホアプリに無料のものがあります。
音のイメージはこんな感じです。すぐ終わってしまうのでみなさんはメトロノームを使用してください
最初は、4分音符で1小節に4回(1~4拍で鳴る)にします。
テンポはBPM80くらいのゆったりしたスピードが良いと思います。1拍めのアクセントは不要です。
ここでは、体をドラムセットに見立てます。
・右足=キックドラム
・右手=スネアドラム
やることはこれだけです。
・1拍目:右足を踏む
・2拍目:右手で右足のひざを叩く
・3拍目:右足を踏む
・4拍目:右手で右足のひざを叩く
これで1小節の完成です。めっちゃ簡単ですよね
メトロノームをガイドに、右足と右手を交互にうごかして、リズムをキープしていきます。
ただ、この状態だと、「音楽的な熱」や「躍動感」をリズムに込めにくいです。
理由は、4拍すべてにクリック(カチカチ音)が鳴っていて、リズム全部を均等に感じやすいからです。
音楽制作アプリ(DAW)で音符を打ち込んだ最初の「素」の状態がこれですね。
リズムは正確にキープできていますので悪くはありません。しかし、人間が音楽する場合は1~4拍の扱いは同じではありません。、曲(音楽)を感じる・感じさせるためには、ここから手を加えていくことになります。
人間が音楽を感じる「感じ方」を作る代表的な方法が2つあります
ここでは“クリックが鳴らない拍に自分でアクセントを置く”練習をします。強拍/弱拍の用語は流派によって使い方の違いもあるので、この記事では“アクセントの置き場所”として説明します。アクセントがあるところは、人間の気持ちがこもるところです。なので、機械的なクリック音を消してその代わりに、自分の体で鳴っている音を表現します。
1・3にアクセントを置く(いわゆるオンビート)
設定の考え方は以下の通りです。
・BPMはいままでやっていたリズムキープとおなじ、BPM80のまま
・メトロノームは1小節ごとに4回ではなく2回で鳴らす。半分の回数=2拍ごとに鳴るようにする。
(アプリで出来ない場合は、BPM40にして「クリック1回を2拍分だと思って聞く」でもOKです。)
そして、クリックが鳴る位置を2拍・4拍だと思ってうごきます。
・1拍目(クリックなし):右足を「かかとから」ドーンとつよく床に踏み込む
・2拍目(クリックあり):右手の指先だけでチョンとひざの上を軽くタッチする。タイミングはクリックとピッタリでOKです。
・3拍目(クリックなし):右かかとドーン
・4拍目(クリックあり) 右手でひざ上チョン
これで1小節が完成です。
コツはクリックが鳴っていないところ(1・3拍)にエネルギーを置くこと。そのためには右足をドーンと強く踏み込んでください。クリックが無いところに「自分でノリを作る」感じです。
音のイメージはこんな感じ(注意:これを聞きながらだと練習にはなりません。あくまで参考。みなさんは音のないところにドーンと足をかかとから踏み込んでください)
2・4にアクセントを置く(いわゆるバックビート)
次は逆に、2・4拍にアクセントを置く練習です。ポピュラー音楽によく使われるアクセントです。
前回のダウンビートの時と設定の考え方はおなじで、
・BPMはいままでやっていたリズムキープとおなじ、BPM80のまま
・メトロノームは1小節ごとに4回ではなく2回で鳴らす。半分の回数=2拍ごとに鳴るようにする。
(アプリで出来ない場合は、BPM40にして「クリック1回を2拍分だと思って聞く」でもOKです。)
今度は、クリックが鳴る位置を1拍・3拍だと思ってうごきます。
・1拍目(クリックあり):うかせた右足のつま先をチョンと軽く床に付ける。タイミングはクリックとピッタリでOKです。
・2拍目(クリックなし):右うでをひじから手のひらまで全部ひざの上にドーンと置く
・3拍目(クリックあり):右つま先チョン
・4拍目(クリックなし) 右うでをひざにドーン
コツは、クリックが鳴っていない拍(2・4)にアクセントを置くことです。
ここが決まると、一気に“曲っぽい躍動感”が出ます。
音のイメージはこんな感じ(注意:これを聞きながらだと練習にはなりません。あくまで参考。みなさんは音のないところでドーンと腕でひざをたたいてみてください)
いかがだったでしょうか?メトロノームが鳴っていないところだとクリックにとらわれず、自由に人間が気持ちを込めることができますので、熱い音楽への情熱をこめてうごいてみて下さい。
なぜ「ドーン」が効くのか(躍動感の正体)
ドーンと大きく動作すると、意識の上でも動作の上でも、
・リズムが鳴る直前の「予備動作・ため」
・鳴ったあとの「余韻」
みたいなものが自然に生まれます。
この“脈動”が、音楽に生き生きとした躍動感を与えている、と理解してもらえたら嬉しいです。
個人的には、クリックが無いところから始まる オンビート(1・3を強く感じる)の方が、難しく感じました。
ただ、ゆっくりやっているとそのうちリズムが掴めるので、焦らず試してみてください。
この点では難しいと言われがちなダウンビート(2・4を強く感じる)の方が、小節最初の1拍めをクリックで位置確認できるぶん、練習はしやすいという気がします。
まとめ
4分の4拍子のポピュラー音楽は、上記いずれかの「リズムの取り方」で作られていることが多いです。理由は、すでにご説明したとおり、その方が躍動感があって人間にとっては気持ちいいからです。
この二つのリズムの感じ方をベースに、音楽ジャンルが決まってきます。ミックス、アレンジ、演奏、ボーカル、すべてがそれに準じて、「リズムを最大限に生かす」ように組み立てられているのが、ポピュラー音楽だと思います。
そして、これは僕の反省でもあるのですが、
・DAWに打ち込んだままのデータ(いわゆるベタ打ち状態)をそのまま使ってしまったために、本来あるべきリズムの抑揚がなくなる
・ジャンルの知識がないまま、別のリズムのフレーズをそのまま持ってきて変な感じになる、
といったことはよく起きます。(というか全部、過去自分がやってきました)。
それを踏まえて言うと、
・リズムの取り方は「音楽の何をいいと思って聞いているか/作っているか」そのものなので重要
・自分が意図する「憧れのリズム」の感じを出せていないなら、反省して修正する
・最終的に分析すれば各楽器の波形が何msにあるか、みたいな話になるとは思う。しかし、曲全体が生み出しているものがすべて。部分的に演奏技量の不足や技術的なミスがあるのも普通。道のりは果てしない。
・「自分が自分の求めているものをつくれるようになるか?」が重要。音楽に正義はないと思うので(ヒットしたものが正義という考え方もある)、教えることは価値観の押し付けになる部分もある(ブログ記事を書きながら反省)。
・現代日本人のリズムの取り方は明治期の西洋音楽の導入のされ方に影響されている、という意見を拝見しました。「固定ド」の問題と同じような影響はある気がします。(余談ですが、固定ドは絶対音感があるなら自然ですが、絶対音感がないならロスなので、階名での音の把握がおすすめです。)ただ、歴史は変えられないし、その結果クラシック的なハーモニーの美しい曲が日本人によって作られるきっかけとなったという良い面もあるのでは?と思います。
今回記事は入り口です。自分の音楽の認識の精度が上がれば、また新しいことがわかってくる。これはすでにこれまでも経験してきたので、リズムについても同じだと思っています。たのしみながら、ご一緒に探求を続けましょう。