前回はダイアトニックコードの中からⅠⅣⅤのスリーコードを紹介し、「歌いながら覚えるといいですよ」と説明しました。しかし、これを実際に自分でやってみると、かなりおおざっぱな説明であったことに気づき反省しました。というのも、声に出して歌うという主旨に間違いはないのですが、男声は特に訓練されていなければG2-G3の1オクターブしか自然には出ないからです。そこで、今回は男声をG2-G3、女性をA3-C5として、実際に歌う譜面をつくってみました。音を把握できない原因のひとつは「声に出して歌えないこと」。音を外してしまう場合も、そもそも自分の出ない音域で歌おうとしていることがよくあります。今回のこの範囲であれば、ほとんどの方はしっかり音を理解しながら声に出して歌えるはずです。自分で歌えるオクターブを大切にして、自分の声で音を把握してみましょう。
この記事でわかること
- 男声と女声の音域
- AEDGC各フォームのdrm(おさらい)
- 実際に出る音域で歌うための譜面
- 1オクターブでひくみつる式右手のもうひとつの意味
女声・男声の音域
もちろん個人差のある話ですが、今回の目的から「どなたでも無理なく出せる音域」ということで範囲を決めています。女性は1.5オクターブで実際にはA 3から D 5までが出る範囲とされていますが僕のYAMAHA PSS-A50で確認する関係で()上はCまでとさせていただきました。譜面にするとこのようになります。上段の低音部が男声、下段の高音部が女声です。メロディが主音に帰ってくることを考えると、主音は中央に位置するのが都合が良さそう。したがって、どなたでも歌いやすい曲は男声がkey=C、女声がkey=Fということがこの音域から見て取れます。
AEDGC各フォームの3コードを歌ってみると
この項はコードフォーム自体は前回のおさらいとなります。最初ですのでコードフォームは変えないで3コードをひいていきます。さてそれを実際に声に出してみるとどうなるでしょうか?
Aフォームの3コード
コードフォームは次のとおりです。
Aフォーム
Aフォームを歌ってみると
Eフォームの3コード
コードフォームは次のとおりです。
Eフォーム
Eフォームを歌ってみると
Dフォームの3コード
コードフォームは次のとおりです。
Dフォーム
Dフォームを歌ってみると
Gフォームの3コード
コードフォームは次のとおりです。
Gフォーム
Gフォームを歌ってみると
Cフォームの3コード
コードフォームは次のとおりです。
Cフォーム
Cフォームを歌ってみると
ここで取り上げたもので歌い方は網羅されていますが、ポジションによってコードフォームを使う順番にはパターンがあります。くわしくは前回記事をご参照ください。そちらをひくときも今回のように歌うと音の理解に効果的です。
いかがだったでしょうか?
いつも、かんたんに口にしていた「歌ってみよう」ですが、いざ、やってみると意外に奥が深いということがわかりました。自分で歌えるオクターブを道具として「使いこなす」ことが音感を良くするためには必要だと理解できます。この点では、メロディを1オクターブの範囲でひく「みつる式」の右手のひきかたなら、1オクターブの範囲でどんなメロディも表現できます。1オクターブならほとんどの方が歌えるでしょう。男声ならkey=C、女声ならkey=Fに転調することで、ムリなく歌って自分の声でメロディの音程を確認できることになります。音感が良くなるとオクターブ違いの音は全く同じ音として階名で聞こえるようになります。次は、自分の中で「歌えるように」オクターブを自在に上下させ、自分の声でそれを表現する番です。これがうまくできるようになったら、どこへでも持っていける最強の楽器を手に入れたことになりませんか?もちろん、習得にともなって音感がますますよくなることは間違いありません。