永遠に変わることのない超ベーシックな音階の話と、最先端のAI作曲の両極端に振れている()このブログですが、今現在リアルに作曲にとりくむとなると、個人的にはこれらは避けてとおれないと感じます。ブログを始めた時は手探りでしたので、思ってもいなかった文字通りの急展開ですね。音源はどういう形で世に出すか決まっていないので、残念ながらお聞かせできないのですが()実体験のため割と的を射た話になっていると思います。よろしければお付き合いください。
この記事の内容
・何をつくったか
・AI作曲の問題点
・耳コピをしましょうw
音感が良くなると
作曲が楽しくなります。音をひとつひとつ探っていくのって辛いですよね。その部分がとてもラクになるので作業がめっちゃ捗ります。同じ時間でできることの量が増えますね。DAWにとりくんでいる初心者の方はぜひ音感アップにもチャレンジしてみてください。自分の経験だと2年しないうちにかなり変わりました。
今回の作業パターンひとつめ
ひとつめはJ-POPを意識して海外の学生がつくったオケを使ってメロディと作詞を担当しました。DAWの打ち込みの曲ですので、楽器の音などのクオリティは中程度。しかし海外の方なので日本人には明らかに出せないグルーブw。ノリは抜群です。ぼくの印象ではJ-POPというよりアニソンに近いように感じたので、アニソンに多用される言葉をちりばめて歌詞を作りました。テーマはベタに「希望」。世界のどこからでも、音楽なら70億人のオーディエンスに発信できる。遠くはなれたぼくたちだけれど音楽が架け橋になって、そんなことが実現できたらいいね、というポジティブな内容です。仕上がりは…。ちょうどボカロが出てきたときに流行っていたようなアニソンの感じですね。なつかしさの漂うオケにあわせてSynthesizerVのGUMIさんに歌ってもらったら、自分的にはめちゃめちゃはまりました。10年前にこの曲がつくれたらきっとヒットしただろうな()という感じですね。いにしえのアニソンカバーをつくりたいひとにはSynthesizerVのGUMIさんはぴったり。歌い方もむしろ素直で癖がなく許容範囲がひろいので「星間飛行」みたいな曲をカバーしたい復帰組のみなさんは一度手に取ってみることをおすすめします。
今回の作業パターンふたつめ
今度は日本語ラップを目的とした完全オリジナル?曲です。どのくらいラップの歌詞をAIがつくれるのか?ということも検証したかったので、歌詞からAIでやってみました。歌詞をつくるのにChatGPTを使う人も多いとおもいますが、ChatGPTは自称ほど作詞が得意ではありません()。歌詞をつくるならChatGPTが後ろで動いているとしても歌詞専用にチューニングされたWebサービスを利用したほうがいいものができると感じます。いずれにしてもSunoに入力するときに調整は必要になるので、GPTは歌詞につかうワードをサジェストしてもらったり、主人公の設定を膨らませたりするのにつかうといいと思います。歌詞ビルダーには歌詞のテーマや雰囲気をプロンプトとして入力するものもあるのですが、それを考えるのにもGPTはとても役に立ちます。(内部的には英語だとおもうので相性はいいはずです。)Sunoはいいフレーズをつくってくれるのですが、全体で見るとどこかしら惜しいところが含まれています。そういう部分が少しでもあると結局そのまま「作品」にはできません。しかし、ボーカルを差し替えてしまうという方法があります。今回はテストとして、オケはSunoが作ったものをそのまま流用。歌だけSynthesizerVにしました。Sunoは日本語ラップは苦手なのか歌にしてくれてそれが良かったので採用w。AIは「ガチャ」なので時間の節約のためにも、あまり粘らず、上手く行ったものは迷わず採用したほうがいいように思います。
DAWの作業手順
Sunoのwavをアプリに取り込んでステム(トラック別の音データ)に分解します。Drum・Bass・その他・ボーカルの4トラックでやってみました。DAWにとりこみます。SynthesizerVをボーカルトラックのFXとして立ち上げます。(最新ベータ版をDreamtonicsから落としていないとできません。後述します。)こうするとDAW内で声のwavをSynthesizerVのデータに変換することができます。スタンドアロンのSynthesizerVを立ち上げて、先ほどのステムの4つとSynthesizerVに変換済みのデータを読み込みます。これで準備ができました。データを修正しながら歌詞を入れていきます。今回は歌詞を上手く読み取れなかったので、練習もかねて入力してみました。メロディの方は大体上手く読み取っていたのでゼロから耳コピするよりはずっと楽です。出来上がった歌をwavにレンダリングし、先ほどのDAWに読み込ませれば完成です。歌を差し替えただけですが、素晴らしい仕上がり。人に聞かせることができるものになった気がします。
アプリについてまとめます(クリーンリンクです)
DAWは今回はStudio One
ボーカル作成はSynthesizerV 記事中のプラグインはSynthesizer V Studio ARA Pluginです。
歌詞作成よろずwアシスタント ChatGPT
歌詞生成 RytrのAI Song Generator https://rytr.me/use-cases/song-lyrics/
作曲 Suno
ステム作成(コード判定など曲のアナライズも)Song Master https://aurallysound.com/
Rytrは日本語曲は無料で1曲()しか作ってないのでその意味では実力は未知数ですが、1曲でぼくはGPTより「調整されている」感じをうけました。
Song MasterはwavからのMidi変換機能もあります。今回はボーカルのMidi化はしなかったのですが、あとで試してみようと思います。
<24/03/28追記>
Song MasterでのボーカルのMidi変換は可能でした。ただ認識力は「普通」なので当然のことですが今回搭載されたSynthesizerVの新機能には劣ります。修正の手間が少ないのでボーカルのMidi化はSynthesizerVを使うのがおすすめです。
現状での問題点
Sunoについての問題点ですね()。ひとつは全体的には非常に素晴らしいのに、クオリティ的には相いれない致命的な「不純物」が容易にまざること。もうひとつは「作品全体を統一してまとまりのあるものにする」のはまだ無理。という事ですね。ひとつめについてはイラストの例でこちらの記事に引用されて頂いた内容と全く同じ。
同じようなことが音楽でも起こります。そこまでは非常に上手だったのに、音をはずしたままギターソロを続行するようなことですね。
ふたつめは、短いキャッチーなフレーズやインパクトのあるフックは作れるけれど、曲全体の流れまではまだ構成できないということです。初めて聞く人がどう感じるかを時間軸にそってモデル化できる指標があれば別だと思いますが、現在のところは全体としてどう感じるかまではAIは意識していなさそうです。
自分が熱くなれる要素
それでもSunoをぼくが推すのはものすごい瞬発力で「スゴ」と思わせる仕事をしてくれるからです。作曲においてぼくがいちばん大事だとおもうのは「自分が感動している」こと。それがないと誰にも何も伝わるものがありません。今回ディスカバーが紹介してくれたnoteの記事を読んで改めてそう思いました。
https://note.com/kouga_yun/n/nefd2d5505f58
自分がおもしろいと思っていないものを、ひとが面白いと思うことはあまりないんじゃないでしょうか。自分が受けたインパクトを自分のもてる技術で最大限に恩返しするのが「クリエイター」のようにぼくは思います。いい作品はたくさんありますから、AIが作ったということを売りにしているととられると、それだけで避けられるようになるのはもうまもなくかもしれません。AIは何かを感じてアウトプットしているわけではないからです。論理性だけで成り立つ文章ならもちろんそれがすべてですが、こころを動かすにはたぶん足りないですね。
何を取り入れるかはジャッジが必要
自分の作品に何を取り入れるかは判断が必要です。商業的には「求められる要素」を満たすことも必要になるからです。これは音楽ジャンルについて以前考察しましたね。期待されていないものはそれだけで「よく聞こえない」可能性があります。どんな音楽にとりくむべきなのか?は分の将来にかかわる大きな課題です。そんなときプロデューサーの視点に立つことは、クリエイターにとっても必要な要素。このことは阿久悠さんの「作詞入門」に書かれていたとおりです。
Sunoの入力欄にどんな歌詞を入力するかでも「ヒットするか・しないか」はある程度決まっている、とも言えます。逆にSunoにアイディアを出してもらえばなにが求められているのか、完パケの形でいろんな検証ができそうですね。
AIアプリのもう一つの方向
歌詞から完パケを作ってくれる。Sunoはその方向に近づいていくと思いますが、メロディを自分で作りたい人もいるでしょう。フックだけできているというような場合もあります。今回、曲全体の構成、アレンジが出来上がっているとめちゃめちゃ作曲しやすいというのを感じました。ならば、BPM、セクションの構成、おおまかなコード進行、曲ジャンルを指定すると一曲アレンジされたオケを作ってくれるAIはどうでしょう。つまりBIABのAI版ですね。音源を個別にそろえる必要もなくなるので、あとはボーカルや自分の楽器を入れればいいだけ。「曲を作りたい」多くの人のニーズはこれで満たせるように思います。Sunoのメロディをなぞるだけではいささか創造性にかけますので()。想像ですがフェンダーが出してくるDAWはこんな感じじゃないでしょうか?
いかがだったでしょうか?
言うまでもないことですがAIを作曲に使ってアシストしてもらうとクオリティは爆上がりします。AIを使いこなすためにも、アウトプットを耳コピできる能力は必要になってきます。これがあればAIのアイディアをDAWで自在に編集できるからです。アレンジについては、BIABのAI版とまではいかなくとも、ジャンルスタンダードのテンプレートがあると便利そうですね。無料音源やエフェクトの範囲で作ってみるのも面白いかもしれません。また考えてみます。それではまた次回のブログでおめにかかりましょう。