コード譜を見て「このコード、左手でどう押さえればいいの?」となったときに、すぐ鍵盤上のおさえ方を確認できるツールをつくりました。
名前は「左手キー・グリップ」です。曲のキーを選ぶと、基本コードやオンコード、テンション入りのコードを、左手で押さえやすい形で表示できます。
最近AIがツールをつくってくれるようになったらしいというのを聞いて、頼んでみたら、なんとできてしまいました。
このツールは、次のような人向けです。
・コード譜を見ても、鍵盤でどこを押さえればいいかわからない人
・左手コードを丸暗記しようとして挫折した人
・メジャーキー、マイナーキー、階名、度数を使ってコードを理解したい人
・歌本やコード譜を見ながら、実際にひけるコード帳をつくりたい人
この記事ではツール「左手キー・グリップ」の紹介と、改めてぼくのコードの考え方の説明を、ツール画面のキャプチャーを用いてやってみたいと思います。
今後はこのツールを使って、コード進行や左手コードの押さえ方を紹介する記事を増やしていく予定です。ご希望があれば、ツールの配布も検討したいと思います。
はじめに:この記事に出てくる音楽用語のかんたん解説
基本コード(ダイアトニックコード)
→ そのキーの音階だけでつくられる、まず覚えたい基本コードです。
階名
→ do, re, mi のように、キーの中での音の役割を表す名前です。ドレミファソラシをd,r,m,f,s,l,tと省略表記しています。(シはtiとなります。)
度数
→ ルートから見て何番目の音かを表す数字です。
オンコード
→ Fmaj7/G のように、コードとは別に一番低い音を指定するコードです。
テンション
→ 9th、11th、13th など、基本コードに色を足す音です。
1.ツールの概要
キャプチャー画面はこんなかんじです。
コードネームと、おさえるキーが表示されます。赤がコードのルートになります。円内に表示されているのは階名とルートを基準とした度数です。
1)曲のキーを選びます。メジャーとマイナーが選べます。
2)キーを選ぶと、基本コード(ダイアトニックコード)を選べるようになります。これらについては、手間いらずで入力できます。
メジャーキーのダイアトニック
マイナーキーのダイアトニック
3)それ以外のコードは直接コードネームをルートとコードフォームを選択するかたちになります。
4)オンコードも選択できます。コードに使われている音は除外された上で、候補が表示されます。
たとえばこんなふうです。
5)テンションも選べます
左手の指は5本ありますので、ツール上では最大5音まで表示できるようにしています。テンションを追加して音数が5音を超える場合は、5度、1度の順に省略して、押さえやすい形に整理します。たとえば、下の画像はルート(1度)まで省略されているので、ルートを示す赤のマークが消えています。
6)つくったコードは右上のボタン「PNGで保存」で画像として取り出すことができます。
2.使える場面
いちばんは、ひきたい曲を歌本(コード譜)で見つけた時ですね。おさえ方がわからない場合でも、コードシートをみながら、順にコードを探していくことができます。見つけたコードを画像として書き出しておくと実践的に使えるコード帳が完成します。鍵盤のおさえ方がすぐわかりますね。
3.コードの考え方
これまでぼくたちは、コードがわからない、ひけない、おぼえられないの3重苦だったわけですが、その連鎖を断ち切ることができそうです。意味を理解しながら音をおぼえることが全てですね。人間は名前(意味)のわからないものは覚えられませんが、逆にわかれば、深く理解して身に付けることができるようになります。
コードは音階をベースに、1音飛ばしでつくられます。ここでは、よく使う音階としてメジャースケールとナチュラルマイナースケールを考えます。
1オクターブには12音あるので、スタートする音の違いまで含めると、メジャースケールが12種類、ナチュラルマイナースケールが12種類、合計24種類あります。
でも、音の名前を階名でとらえると、スタートする音の違いを1つの型にまとめることができます。なぜなら、CメジャーでもDメジャーでも、同じメジャースケール同士なら、スタートの音が違っても「do re mi fa so la ti do」という型は同じだからです。同様に、ナチュラルマイナースケールも、スタートの音が違っても、階名で見れば同じ型「do re me fa so le te do」として扱えます。
つまり、メジャーとナチュラルマイナーで合計24種類ある音階も、階名を使えば、「メジャーの型」と「ナチュラルマイナーの型」の2種類として整理できます。
これを知らないと大変なことになりそう、というのは何となくわかって頂けると思います。基本コードだけでも24×7=168個のコードを別物としておぼえることになるからです。それを回避するためのキーと階名の考え方ですので、ここはたいへんそうに見えて、さきに仕組みを理解しておくことでラクができます。
音階は7音からできているので、メジャースケールとナチュラルマイナースケールで、基本コードが7つずつできます。つまりキーの中で基本形としておぼえるなら、最初におぼえるべきコードはこの14個になります。もちろん実際にはキーごとにコードネームは変わります。ですが、階名と度数で見れば、基本の型はこの14個に整理できるのです。この中から上手くつながるように並べたものがいわゆるコード進行となりますが、おさえられるようになると、実際に音を出しながら確認していくことができて、文字通り身に付きます。この過程で、ひけるようになること=理解すること、というのを実感してもらえると思います。リアルタイムでひけるようになることでわかることが、たぶんたくさんあります。以下に表示するぼくが選んだコードの押さえかたは、一番簡単に触覚で覚えられるコードフォームです。なぜそういえるか?というと、ぼくにできたから。少なくともぼくはこの方法でしか、コードを覚えられませんでした。マイナーはメジャーより、ちょっと難しいので、まずはメジャーの7基本コードから紹介します。
4.メジャーキー基本コードの実際
白鍵だけのkey=Cでやってみます。
つかう鍵盤の範囲はF(fa)からF#(fi)まで。基本1オクターブです。Fmaj7(Fldm)とG7(Strf)を出発点にすると、すべて指1本しか動きません。例外は2本が動くCmaj7(stDm)だけです。そして、Fmaj7とG7の間も移動は指1本分だけです。これなら、触覚で覚えられそうじゃありませんか?キーの音階を軸にコードをグリップするという意味で、ツールのタイトルはつけさせてもらいました。
5.マイナーキー基本コードの実際
メジャーをマスターしてからでOKです。まずマイナーキーの音階(階名も含めて)を身に付けてからの課題になりますが、焦る必要はありません。急がば回れです。
6.基本コードがわかると
もちろん実際の曲にはもっと多くのコードが出てきます。しかし、基本コード14種類をおぼえると、多くの曲が大部分「わかる」ようになります。なぜかというと、実際の曲に出てくるコードの多くは、この基本コードを少し変えたものとして理解できるからです。1音だけ変わっているものも多いですし、オンコードやテンションも、基本コードから考えるとかなり見通しがよくなります。基本コードを知ることは音楽の仕組みを知ることでもあるので、音のなりたちについての理解が深まるのだと言えると思います。さらに、リアルタイムに音を出せるようになることで、その理解を感覚的に身に付けていくことができます。全てのコードを1オクターブの範囲に収めて、触覚で覚えられる(グリップできる)ようにしているのはそのためです。
7.まとめ
今回はツールの紹介が主となりましたが、今後はコード進行の紹介など、みなさんが実際にひける形でやっていけたらと考えています。まずはCメジャーキーの7つの基本コードから、実際に音を出して試してみてください。コードは目でおぼえるより、手でつかんだ方が早いです。それでは次回のブログでまたお目にかかりましょう。
<20260629追記>
さっそく以前書いた「ブラックアダーコード」の記事にコードフォームを追加してみました。よろしければご参照ください。