日本もDo Re Mi派ですね。明治時代にヨーロッパ文化のいいとこ取りをしたからだと思いますが、この動画を見ると音名のABCとDo Re Miの関係がわかるようになっています。Siの代替案としてTiを発案したのがABC派のイギリス人だったというのも面白いですね。
この記事でわかる事
- 動画の要約ご紹介します
- このブログで使用している音名ABCと階名Do Re Mi
- 音楽スクールのスポンサーを受けているということは
早速動画ご紹介していきます
こちらの動画になります。
Most countries don’t use ABCDEFG for note names
例によって時間のない方のために
要点を10箇条書きでご案内します。しかし、今回は内容盛りだくさんなので10ポイントでは足りないですね。あとで全訳をご紹介します。
- 英語のABCDEFGという音名表記法を使っているのは、英語圏やドイツ語圏の国々だけで、世界のほとんどの国々はソルフェージュと呼ばれるドレミファソラシという表記法を使っています。
- ソルフェージュは、グイド・ダレッツォによって考案された記号法で、聖歌「ウトゥー・カンターティス」の各行の最初の音節Ut Re Mi Fa Sol Laを取ったものです。
- 後にUtがDoに変更されて歌いやすくなり、7つめの音であるSiが追加されました。
- ソルフェージュは絶対音よりむしろスケール度数に焦点を合わせた表記法です。
- 英語圏では「移動ド」と呼ばれるソルフェージュが相対的な音程を教えるのに用いられます。
- 「サウンド・オブ・ミュージック」の「ドレミの歌」は、ソルフェージュの音節をスケールの度数とうまく合わせたうまい歌詞です。
- 「サウンド・オブ・ミュージック」のスペイン語版でも歌詞はうまく翻訳されています。
- ソルフェージュ国でも音楽教育の影響でABCDEなどの表記法も学ぶ音楽家が多いです。
- 中央ヨーロッパ諸国はBAGDFEAという独自の文字表記法を使っています。
- ソルフェージュとABCDEは重複する部分もあり、音楽家は状況に応じて使い分けることもあります。
このブログでの音名と階名
ポピュラーミュージックは過去英語歌詞の曲がワールドチャートを独占していましたので、ポピュラーミュージックの作り方についても日本は多くを英語圏から学んでいると思います。たとえば今世界的に流行している日本のシティ・ポップもサウンドの源流はアメリカのAORという大人向けのロックにあります。コード譜を見てもコードネームのルートを表すアルファベットは、英米式の音名そのもの。僕はコードに関してはこれ以外の書き方をしているのは見た事がありません。そこでこのブログでは、音名(実音)はABCのアルファベット。階名はDo Re Mi(動画によるとソルフェージュと呼ぶらしいですね)で表現しています。音名のDo Re Miを使用する国ではどこでも固定Doなのか移動Doなのか?という問題が発生しているようですが、それを回避するのが目的です。
Tiを発明したイギリス人
今でもBの音をSiと言っている国は日本を含め多いようですが、違う音には違うアルファベットをあてるべし(Sは既にSoが使っています)という理由でTiにしたみたいですね。この動画で初めて知りました。結果的に半音を表現するという意味でもメリットが生まれています。合理的。さすがなんでも発明する()イギリスだけのことはあります。最初に書いた記事でお恥ずかしいですが、ご参考まで。
余談「スポンサード」を受けているということは
デビッド・ベネットさんの動画はいつもCMがありますがジャマとは思わないでください。動画に直接提供を受けているということは、それだけ内容に信憑性があるということでもあるからです。音楽的に間違ったものを音楽スクールがサポートするということは一般的にはないでしょう。スポンサードで動画のクオリティも上がることが考えられるので視聴者にとってはメリットのあることだと思います。
いかがだったでしょうか?
A=440Hzが決まったのは1930年代ですから、古くは中世の聖歌から生まれたDo Re Miがもともとは相対的な音程関係を表すものであったのはデビッドさんのおっしゃる通り当然のこと。その歴史にさかのぼれば、音名ABC階名Do Re Miの使い分けにはそれなりの合理性があるのではないかと思います。個人的には音の高さしか意味していない音名ABCより、Do Re Miの方が音楽を理解する上でずっとわかりやすく感じます。絶対音感をお持ちの方はkey=C以外でDo Re Miで歌うのが苦痛という話も聞きましたが、せっかくの音感もデメリットになることがあるんですね。自分なら絶対音感の音名はABCで感じるように切り替えていくと思います。英語圏の子供はそうやって歌っているでしょうし。子供の頃に覚えたものですから難しいとは思いますが単なる言い換えでもありますから大人ならなんとか可能ではないでしょうか?逆に相対音感の人は自分のいるポジションを見失わないよう鍵盤や指板での音名やインターバルを覚えるといったことが必要になります。これは耳で聞こえない以上()視覚や触覚に頼るしかありませんから大変は大変です。ただこれも普通にひく程度であれば楽しみながらできる範囲ではないかと思います。自分の経験ではひきかたのコツがわかると楽しくなってきます。このブログでは引き続き音感を良くするためにいろいろな方法を考えていきたいと思います。それではまた次回のブログでお目にかかりましょう。
<参考全文>
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私の動画で音やコードについて話すとき、いつもピアノの白鍵7つの音をアルファベットの最初の7文字A,B,C,D,E,F,Gで表記しています。英語圏の国に住んでいると、全ての国が音階度をこのように同じように表記しているということを当然だと思いがちですが、実はそうではありません。ABCDE~というこの表記法を使っているのは、英語やドイツ語を話す国だけなのです。
世界のほとんどの国では、次のような名称で音階度を表記しています:
ドレミファソラシ
これをソルフェージュと呼びます。ヨーロッパのほとんどの国やラテンアメリカ、カナダのフランス語圏、アラビア語やペルシア語を話す国、そしてアジアの多くの国々で共通の音階表記法として用いられています。
ソルフェージュは基本的に英語のABCDEと同じ仕組みですが、文字をこちらの語で置き換えただけです。つまりC, D, E, F, G, A, B は文字通りドレミファソラシと同じ音を指します。主要な白鍵の音はこのように呼ばれ、黒鍵の音については英語のシャープやフラットと同様、単語を変化させて表現します。
例えばこの音を英語で”F sharp”と言うのと同様に、ソルフェージュではおそらくイタリア語の専門用語を使うでしょう。シャープを意味する”diesis”、英語のsharpに相当。フラットは”bemolle”で、英語のflatに相当します。
用語は言語によって異なります。例えば、スペイン語ではシャープを “sostenido” と言い、フラットを “bemol” と言います。これは英語のsharpやflatとは違う単語ですが、同じことを表しています。
楽譜の記号は同じで、名前だけが変わっているのです。したがって外観は異なるように見えても、実際には同じ仕組みで機能しているのです。
例えば、ベートーヴェンの運命は英語圏の国で「ハ短調の交響曲第5番」と呼ばれる代わりに、「ハ短調の交響曲第5番」と呼ばれます。ドというのがCに相当するからです。
コード名についても同様です。「Fメジャー」は「ファ長調」で、「G seventh」は「ソ長7の和音」となります。
このように、地図上赤く塗られたほとんどの国々は、英語のABCDEFGという音名ではなく、ドレミファソラシを用いて音階を表記しているのです。
では、なぜドレミファソラシという音節が選ばれたのでしょうか。1000年ほど前にイタリアで活躍した音楽理論家グイド・ダレッツォが、音楽を学習するのに役立つ目的で各音階度を違う1音節の名前で呼ぶ「ソルミゼーション」と呼ばれる体系を導入したのが始まりです。
グイドは聖歌「ウトゥー・カンターティス」の最初の6行の最初の音節を採用しました。その音節がUt Re Mi Fa Sol Laです。聖歌を聞けば、各行の最初にこれらの音節が現れるのがわかります。
真実はグイド・ダレッツォがこの聖歌を作曲したかどうかは定かではなく、もしかするとすでに存在していた可能性が高いです。しかし確かなことは、歌の中で実際に歌われる音が、文字通りその行に書かれた音節のソルミゼーションに合致しているということです。 これがドレミファソラシという音階度名称の起源です。
しかしご覧の通り、ここには6つの音しかなく、7つ目の音シがありません。実は中世時代には7つ目の音も使用されていました。ただし7つ目の音は文脈に応じて変化することが多かったため、6つの定義された音とは別の方法で体系に組み込まれました。 詳細は私のEarly Music Sourcesと題する別の動画をご覧ください。そこでソルミゼーションについて詳しく説明しています。
最終的にグイド・ダレッツォの体系からUt Re Mi Fa Sol Laという6つの音節を得たわけですが、その約600年後の1600年ごろ、別のイタリア人ジョヴァンニ・ドーニがUtを歌いやすいDoに変更しました。そのすぐ後に、長音階全体を反映するために7つ目の音節Siが加えられました。SiはSan Giovanni、聖ヨハネの頭文字SとIから取られています。
なぜ7つ目の音が聖ヨハネのイニシャルから取られたかというと、元の聖歌の次の行が実際に聖ヨハネ・バプテストを指していたからです。最初の6つの音節が取られた聖歌と同じ聖歌から7つ目の音節を選ぶのは論理的な流れでした。
私のほとんどの動画では、話している内容を示すために楽譜と記号を画面に表示していますが、視聴者の多くは楽譜が読めないことを認識しています。 ミュージシャンであるために楽譜が読める必要はないのですが、少しでも楽譜の知識を身につけることは非常に有用な場合がよくあります。
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さて、ビデオに戻りましょう。きっと疑問に思っているであろうことが1つあります。なぜその7つ目の音はSiなのか、Tiではないのか? 『サウンド・オブ・ミュージック』の歌詞は「Ti, a drink with jam and bread」(ジャムとパンとお茶)であって「Si, a drink with jam and bread」(ジャムとパンと??)ではないはずだ、ということです。 ここからソルフェージュの混乱の一部が生じているのです。
明確にしておきたいのは、ソルフェージュを主な音名表記法としている国々では、7つ目の音は常にSiであってTiではない、ということです。 Tiは1800年代初頭にイングランド人音楽教師サラ・アンナ・グローバーによって導入されました。 明らかに英国人らしいことに「お茶」を加えました。 音階の中で1つの文字に1つずつ異なる文字を割り当てるために、7度目の音をTiに変更したのです。 Solが既にSを使っていたため、Siの代わりにTiを選んだのです。
「英語圏の国ではソルフェージュを使わないはずだと前に言っていなかったか? なぜイギリス人がソルフェージュを使っているのか?」と疑問に思うかもしれませんね。ここで事態がさらにややこしくなるのです。少なくとも英語圏では、ソルフェージュという用語で知られているものと関連するが異なるシステムを実際に使用しているのです。
英語を話す国々、つまり米国や英国などでは、音名を付ける主要な方法としては既にABCDEFG体系が確立しています。一方、赤く塗られた国々が第一音名法として使用しているドレミファソルシというソルフェージュは、英語圏の国では「移動ド」と呼ばれる体系の中で用いられ、相対的な音程を教えるために使われています。
赤国で使われている通常のソルフェージュ、つまり「固定ド」では、これらの音節が実際の音名を表しています。ドは文字通りCを意味します。しかし英語圏で使われている「移動ド」ソルフェージュでは、ドが必ずしもCを表しているわけではありません。ドはメジャースケールの最初の音、第1スケール度を意味しているにすぎません。
移動ドソルフェージュは絶対音でなくスケール度を意味しており、このため12音スケールの個々の度に対してそれを表す階名を持つことが便利なのです。追加された半音階が、元となったスケールの階名に関連付けられていることがわかるでしょう。
スケールの最初の度はDoです。次の度である短2度はDiです。そして続いてRe Ri,Mi, Fa Fi, So Si ,La Li,Tiのように追加されています。追加されたこれらの音節に一貫した論理があることがお分かりいただけると思います。
英語圏の国で「ドレミファ」というソルフェージュを耳にした場合、使用されているのはおそらく移動ドであって、赤国が使用している固定ドシステムではないでしょう。
疑問に思うかもしれません。「じゃあサウンドオブミュージックの『ドレミの歌』は移動ドを使っているのか、それとも固定ドなのか?」
答えは、両方の中間です。歌の中でマリアが子どもたちにソルフェージュで歌うことを教えています。歌は実世界のものを賢明に表しています。例えばレの音節は英語のメスシカ(doe)を表しています。 賢い点は、ドレミの音節が常に適切なスケール度に合致することです。ドが歌われる時はいつもスケールの1度目で、レは2度目で、ミは3度目という具合です。非常に巧みな歌詞だと言えます。
『サウンド・オブ・ミュージック』では、この歌はハ長調で書かれているため、移動ドが使用されていても、ドレミの音節は固定ドシステムでのハ長調スケールの実際の音名と一致します。 固定ドではドは常にハを意味し、移動ドのハ長調でもドはハですから、この場合両方のシステムが一致するのです。
とても面白いことに、『サウンド・オブ・ミュージック』が他言語に翻訳される際には、歌詞の駄洒落が新しい言語でも通じるようにアレンジされています。例えばスペイン語版では、レの駄洒落は英語のメスジカではなくスペイン語で牝山羊を意味する「cabra」を使っています。歌詞は「ソ、燃える球だ」となっていて、英語のバージョンとは異なります。
またスペイン語圏では7度目の音がシである一方、英語ではTiで紅茶を連想させるため、ここではスペイン語の「テ」という単語が音名のシを表すのに使われています。
以上が、世界のほとんどの国で音名に使用されているソルフェージュ、そして英語圏の国でスケール度を表すのに関連しつつも異なる方法で用いられているシステムです。色分けした国々もシステムの重複が見られ、状況に応じて音楽家が切り替えていることがしばしばあります。特に英語圏の音楽教育の影響で、赤く塗った国の多くの音楽家も英語のABCDEFGシステムの一部を使用する可能性が高く、両方のシステムを状況に応じて使い分けている場合もあります。
ヨーロッパ中央部のドイツ、チェコ、ポーランド、セルビアなどでは、英語のABCDEFGと似ているがいくつか重要な違いがある独自の文字表記法であるバグデファ(BAGDFEA)が使用されていることに気付いた人もいるかもしれません。このシステムの主な特徴は文字Hの使用です。 バグデファの詳細については、下記の関連動画をご覧ください。
以上が、世界の大部分で音名表記に利用されているソルフェージュと、英語圏の国々でスケール度を表すのに関連した異なるシステムについての概要となります。単一の色で国を塗り分けましたが、実際にはシステムの重複が各国で生じており、文脈に応じて音楽家が両方を使い分けていることも少なくありません。