Suno AIはいまのところそんなに完全ではありません。しかし来年の今頃には普通に歌詞を入れれば、一曲きれいに意図したとおりの構成で作曲してくれるようになっているでしょう。つまり音楽を必要としているだけで音楽に対するこだわりがとくにない人にとって、自分の欲しい音楽を手に入れるのにSunoがあれば十分になります。DAW(作曲に使うPCソフト)は必須ではなくなるでしょう。それは僕がこのブログの挿絵をつくるのにペイントソフトやドローソフトを使って自分で描こうとは考えないのと同じです。画像生成AI(DALL-E3)が代わりに絵を描いてくれるから。自分の目的とする用途で「使える」のであればOK。音楽についてもこれとまったく同じことがおきるでしょう。ただ、音楽の場合は画像のように「生成でおわる」とは限らない可能性もあります。Suno AIが作り出す新たな需要について少し考えてみました。
この記事でわかること
- 今年起きた変化
- DAWの未来形
- プラグインメーカーに求められること
Chat-GPTにはじまりSuno AIにおわる
2023年は激動の1年だったような気がします。作曲をひとつのテーマに掲げて2022年にスタートした本ブログですが、基礎的なことを学び「身に付けて」いるうちに、想像以上に大きくそのスタンスを見直す必要に差し迫られることになりました。AIが作曲するようになったらどのくらいの人が「自分で作曲」することに価値を感じるのでしょうか?全体としてみればDAWを覚えようという人は明らかに減ると思います。しかし、作曲が身近なものになる分、自分でも音楽を作ってみようと思う人は増えるでしょう。その結果「音楽を学びたい」と考えるひとの数そのものは増える可能性もあります。
絵画・イラストと音楽が違う点
音楽をきくためには「再生する」ことが必要です。もし自分の手で再生したい(つまり、AIで作った曲を自分で歌いたい・演奏したい)と思ったときには音楽の知識が必要になります。たとえばそれがコード譜であらわされているとしたら、メロディとコードをコード譜から音楽として読み取る必要があります。むずかしくはありませんが、これは音楽の知識そのもの。作曲AIによって音楽人口が増えるとしたらベーシックな音楽の知識はむしろこれまでよりたくさんの人から求められるようになる。そうした可能性も考えられるのではないでしょうか?
作詞を愛好するひとの表現の場のひろがり
文字で読むものとしてではなく、完パケ(完成した楽曲)で自分の詩を味わってもらうことができる。おそらく作詞をされているかたの間では爆発的にSuno AIの利用が広がるのではないでしょうか? その音楽的なクオリティアップに関しては餅は餅屋ですからDTMerの「出番」です。この面に限ればアマチュア作曲家の活躍の機会は増えこそすれ減ることはないでしょう。
音楽愛好家のニーズ
さきほども見た通りSuno AIの作った曲を自分のオリジナル曲として歌いたいと考えるかたはいるでしょう。また、ボーカル以外にも楽器のパートを差し替えたい、アレンジの構成を見直したいといった希望はさまざまに出てくるでしょう。形になったがゆえに「さらにいいものにしたい」という要望が生じてくる可能性は大いにあると思います。これもDAWを使わなければできないこと。したがってスキルをもった人の手が必要になります。
今後の状況からは目が離せません
作るのが容易になった結果「オリジナル曲」が爆発的にふえるというのは今回初めて起きる現象です。そのインパクトは初音ミクブームの時とくらべてもはるかに大きいものと僕は想像しています。そのことによって、さまざまな変化が生じてくるでしょう。
DAWに必要なこと
これまでのDAW(作曲用ソフト)はゼロから音楽を作ることを目的に設計されていたと思います。今後は音楽生成AIの作ったデータを素材に曲を仕上げるというのが当たり前になるのではないでしょうか?生成AIがDAWに直接組み込まれる可能性もありますが、そうでないとしても生成AIのデータ流用が簡単にできることが必須になると思います。
プラグインに必要なこと
同様に楽器のプラグインに求められるのは音楽生成AIの作ったデータの再現が簡単にできることだと思います。音声ファイルを読み取ってフレーズを再現したり新たなフレーズを生成したりが当たり前になるでしょう。生成AIの作った音をよりよい音にすぐ差し替えられることになりますので、これができるプラグインはこれまでより需要が増すと思います。
僕も一曲つくってみました
おもしろいですね、Suno AI。しかし今の精度ではちゃんとつくろうとするとトライ&エラー(課金())が必要ですね。いつもなら音声をお聞かせするところですが、まだ自分のわかっていないことが多く曲にはまとまらなかったので機会を改めます。それではまた次回のブログでおめにかかりましょう。
本日のGPT
Suno AIのような歌詞から歌唱入りの楽曲を生成する音楽AIが社会に与えるインパクトについて考えると、いくつかの重要な点が浮かび上がります:
- アクセシビリティの向上: これまで音楽制作には専門的な技術や高価な機材が必要でしたが、Suno AIのようなサービスにより、誰もが手軽に自分のアイディアを楽曲に変換できるようになります。これにより、音楽制作への参入障壁が大幅に低下します。
- 創造性の刺激: AIが基本的な楽曲作成を担うことで、ユーザーはアレンジや歌詞の創作など、より創造的な面に集中できるようになります。これにより、新しい音楽のスタイルやジャンルが生まれる可能性があります。
- 音楽教育への影響: 音楽AIの進歩により、音楽の学び方も変わる可能性があります。伝統的な音楽理論や演奏技術に加えて、AIとの協働を学ぶことが重要になるかもしれません。
- 音楽産業の変化: プロの音楽家だけでなく、アマチュアも簡単に高品質な楽曲を制作できるようになると、音楽産業の構造が変わる可能性があります。新たな音楽の流れやビジネスモデルが出現するかもしれません。
- 文化的多様性の促進: 世界中のさまざまな文化からの影響を取り入れた楽曲が容易に作成できるようになるため、音楽の文化的多様性がさらに広がることが期待できます。
これらの点から、Suno AIのような音楽生成AIは、音楽の制作方法、教育、産業、文化に大きな変革をもたらす可能性があります。