WEBでトレンドを調べていたら歌詞のムードを表すのに「プルチックの感情の輪」をつかっている論文がありました。なにこれ面白そう!というわけで今回は「感情の輪」について調べていこうと思います。これちょっと見た感じ5度サークル(サークルオブフィフス)に似てるとおもいませんか?
この記事でわかること
- プルチックの感情の輪とは?
- 実は立体モデル
- 網羅する感情のタイプは全部でいくつ
- どんな風に使う?
「プルチックの感情の輪」とは?
プルチックの感情の輪は、アメリカの心理学者であるロバート・プルチックが提唱した、人間の感情を色相環のように分類したモデルです[2][3]。このモデルでは、8つの基本感情(anger怒り、fear恐れ、anticipation予測、surprise驚き、joy喜び、sadness悲しみ、disgust嫌悪、trust信頼)を中心に、それらが混ざり合ってできる応用感情が表されています[1][4]。感情の輪は、8つの基本感情を8つの花びらで表し、それらを立体的に組み合わせることで、感情同士が混ざり合うように表現されています[3]。このモデルは、感情を理解するためのツールとして、教育やビジネスなどの分野で広く活用されています。
画像出典:
http://blog.livedoor.jp/tellstv/archives/22099187.html
最初に示したのは展開図的なもので組み立て後の脳内イメージとしては次の図のようになります。右はgrief悲嘆に心が覆いつくされている状態。
出典:
http://blog.livedoor.jp/tellstv/archives/22099187.html
Citations:
[1] https://6seconds.co.jp/eq-articles/plutchiks-model-of-emotions
[2] https://swingroot.com/plutchik-emotion/
[3] https://lani.co.jp/11580
[4] https://careality.jp/wheel-of-emotions/
[5] https://note.com/toriikurumi/n/nbbbabbdf8190
[6] https://youtube.com/watch?v=WKUQFQnL8YA
もうちょっと細かくみていきます
プルチックの感情の輪を使った感情の分類方法は、以下のようになります。
- 8つの基本感情を把握する
- 喜び、信頼、恐れ、驚き、悲しみ、嫌悪、怒り、期待
- 基本感情が強くなったもの8 弱くなったもの8 合計16の感情に派生する
- 以上でできた24の感情の合成が応用感情
ここまではわりと分かりやすいのではないでしょうか。最初の図では隣り合った基本感情の間に「応用」感情が設定されますが「喜び」+「信頼」=「愛」みたいなところはなんとなく理解しやすいと思います。
もう一歩踏み込むと
- この基本感情を組み合わせて、24の応用感情が生まれる
- 相反する基本感情が同時に起こる4つの応用感情を加えると、8+16+24+4=52種類の感情が説明できる
- 感情の輪を使って、感情同士が混ざり合うように表現する
応用感情のつくり方を具体的にみていくと
- 喜び + 信頼 = 愛
Joy + Trust = Love - 喜び + 期待 = 楽観
Joy + Anticipation = Aptimism - 喜び + 恐れ = 罪悪感
Joy + Fear = Guilt - 喜び + 怒り = 自尊心
Joy + Anger = Pride - 喜び + 驚き = 歓喜
Joy + Surprise = Delight - 喜び + 嫌悪 = 不健康
Joy + Disgust = Morbidness - 信頼 + 恐れ = 服従
Trust + Fear = Submission - 信頼 + 驚き = 好奇心
Trust + Surprise = Curiosity - 信頼 + 期待 = 希望
Trust + Anticipation = Hope - 信頼 + 悲しみ = 思いやり
Trust + Sadness = Sentimentality - 信頼 + 怒り = 支配
Trust + Anger = Dominance - 恐れ + 驚き = 畏怖
Fear + Suprise = Awe - 恐れ + 期待 = 懸念
Fear + Anticipation = Anxiety - 恐れ + 悲しみ = 絶望
Fear + Sadness = Despair - 恐れ + 嫌悪 = 羞恥心
Fear + Disgust = Shame - 驚き + 悲しみ = 失望
Surprise + Sadness = Disappointment - 驚き + 嫌悪 = 不信感
Surprise + Disgust = Unbelief - 驚き + 怒り = 憤慨
Surprise + Disgust = Outrage - 悲しみ + 嫌悪 = 後悔
Sadness + Disgust = Remorse - 悲しみ + 怒り = 嫉妬
Sadness + Anger = Envy - 悲しみ + 期待 = 悲観的
Sadness + Anticipation = Pessimism - 嫌悪 + 怒り = 軽蔑
Disgust + Anger = Contempt - 嫌悪 + 期待 = 皮肉
Disgust + Anticipation = cynicism - 怒り + 期待 = 攻撃性
Anger + Anticipation = Aggressiveness
あと4つの感情の作り方
こんな感じになっています。
プルチックの感情の輪を使った感情の分類方法において、相反する基本感情が同時に起こる4つの応用感情があります。以下に、基本感情の組み合わせによって生まれる4つの応用感情を示します。
- 喜び + 悲しみ = ほろ苦さ
Joy + Sadness = Bittersweetness - 信頼 + 嫌悪 = 葛藤
Trust + Disgust = Ambivalence - 恐れ + 怒り = 冷淡
Fear + Anger = Frozenness - 驚き + 期待 = 混乱
Surprise + Anticipation = Confusion
以上で合計52ですね。
科学的というよりは…
感情を52分類して俯瞰するなんてことは普通の人はしません。だからこそ非常に面白いですね。一方で科学的な説明とは言えないことは素人考えでも明らかです。脳のモデリングがコンピュータで完全にできるようになれば感情の相関性は説明できるようになるとは思いますが、検証可能なものでない限り「文学」的な解釈にとどまるでしょう。ただし有効に「機能する」場面があったとしても不思議はありません。教育やビジネスで使われているという説明は頷けます。なぜなら僕たちはそもそも科学的に正しいかどうかで行動を決めたり感情を理解したりはしていないからです。
GPTに聞いてみました
“Is there any academic evaluation regarding the selection of basic emotions in Plutchik’s Wheel of Emotions?”
プルチックの感情の輪は広く認知されているモデルであり、多くの心理学的研究で引用されています。しかし、感情の分類や選定については学術的な議論があり、一様に受け入れられているわけではありません。
- 基本感情の数: プルチックは8つの基本感情を選定していますが、他の研究者(例えば、Paul Ekman)は6つまたはそれ以上の基本感情を提案しています。
- 文化的要素: 感情の表現や認識は文化によって異なる可能性があり、プルチックのモデルがすべての文化に適用できるわけではないという批評もあります。
- 複雑な感情: プルチックのモデルは基本感情から派生する複雑な感情も考慮していますが、これには賛否が分かれることもあります。
- 実証的証拠: このモデルがどれだけ実証的に妥当であるかについても、さまざまな研究が行われています。
総じて、プルチックの感情の輪は有用なフレームワークとされていますが、感情の分類や理論には多くの異なるアプローチと見解が存在するため、その選定についての学術的評価は一様ではありません。
ですよね~。
ではどんな風につかえる?
曲のムードをプロットしているのを見てこの記事を書きはじめました。つまり歌詞の「感情」を設定するときの「メジャー・ものさし」として使うことができます。そして歌の中での感情の動きも時間軸やストーリーにそってこのモデルの中で設定していくことができます。
重要だなと思ったのは僕たちが普段見落としている(あるいは見ないようにしている)感情の存在に気づけること。先日ご紹介したRapのレジェンドソングはさまざまなネガティブな感情を曲のテーマにしているわけですがそれが共感を得たからこそ伝説になっています。シリアスなことが常に正義と考えてしまうことにも問題がありますが、僕たちはテーマの選択に臆病になっていないか?というのは「プルチックの感情の輪」から考えさせられる点です。
それとポジティブなほうの話で言えば小説や映画・アニメや漫画にインスパイアされてアイディアをもらうとき、主人公の感情をより深く掘りさげることができそうじゃありませんか?「プルチックの感情の輪」が明らかにしているのは感情はそのピークのまま対局に移ることはなく一回沈み込むように起伏を失う過程を経た後で反対の極を登り詰めていくということです。そこまでして主人公を動かすものはなんなのか?ストーリーの理解が深まりそうです。
音楽に話をもどしてキャッチーな曲なら「一定の気分」をリピートした方がインパクトが深くなる。このことはある意味常識ですがあえて挑戦の余地がありますね。Rapなら当然ストーリーを語らないと語数を持て余す場面が出てきそうですから題材として語るべき多くの感情があることはそれだけでプラス。曲調と歌詞の言葉とで重層性をもたせることも可能ですね。
いかがだったでしょうか?
このブログも約一年前「音に名前をつける」ことから始まったことを懐かしく思い出します。名前を付けないと認識できないのが人間の基本的な在り方ですからチャンスがあればこうしたわかりやすいラベリングのツールは積極的に使っていくほうがよい結果が得られると僕は思います。これではすくいきれない感情の取りこぼしがあることは重々承知ですがそこは割り切って言い切らないと作品にして先にすすむことはできません。いったん自分の理解できる範囲でわかりやすく単純化して「ツール」として使ってみること。このことの有効性も僕たちは「みつる式タッチタイピングピアノ」で体感してきたところです。ひきつづき「感情」については掘りさげていくことをお約束して、それではまた次のブログでお目にかかりましょう!
本日のGPT
プルチックの感情の輪(Plutchik’s Wheel of Emotions)は、人間の感情を8つの基本的な感情とそれらの派生形で表現する心理学的なモデルです。このモデルは作詞において非常に有用なツールとなる可能性があります。以下に、プルチックの感情の輪を作詞に適用するいくつかの方法を列挙します。
1. 感情の進行を描く
- 一つの曲で複数の感情を経験するキャラクターや状況を描きます。例えば、曲が進むにつれて「興味」から「期待」へ、そして「喜び」へと感情が変わる。
2. 対照的な感情を使う
- 感情の輪において対照的な感情(例:喜びと悲しみ)を使って、ドラマを作り出します。
3. 派生感情を探る
- 基本的な8つの感情だけでなく、それらの派生形(例:愛、服従、驚嘆など)を曲の中で探ります。
4. 感情の深度を表現
- 同じ感情でもその強度によって異なる名前がついています(例:怒り→憤り→憎しみ)。これを利用して、曲が進むにつれて感情の深度を変えることができます。
5. 感情の変化を音楽と連動させる
- 曲のメロディやリズムを使って、感情の変化を音楽的にも表現します。
6. 複数のキャラクターを使う
- それぞれ異なる感情を持つ複数のキャラクターを登場させ、それぞれの視点で歌を進めます。
7. 感情の輪を物語のプロットとして使う
- 8つの基本感情を一つずつ順番に表現し、最後に一周する形で曲を終えます。
8. 感情の輪を視覚的に表現
- ミュージックビデオやライブパフォーマンスで感情の輪を視覚的に表現します。